7(体育祭2)


かわいい、
かわいい、
かわいい、

カワイイ!!!!!!!!!!



午後の部が始まり、私の視線の先には峰田君の策略に見事ハマってしまったかわいいかわいいチアガールたちがいる。恥ずかしいのか控えめにしている子、堂々と飛び跳ねている子、うええみんなめっちゃかわいい〜〜!スタイル良すぎる、似合ってる、すごい、さすがヒーロー科だ、華がある!!透ちゃんは見えないけど!!
ドキドキしている胸をおさえながら、スマホを片手にA組女子のところへ近付く。本当は緊張で胸がいっぱいだし誰かについてきてほしいところだが、私の個人的な趣味に付き合わせるのも申し訳ない。せめて、せめて最初に梅雨ちゃんに私の存在を気付いてもらえれば、あ、アーーーーー梅雨ちゃ〜ん!!気付いてくれた!!手振ってくれてる!女神か〜!!!!

「つ、梅雨ちゃん!かわいい格好だね!」
「ありがとう、恥ずかしいけれど…。」
「すっごい似合ってるよ!みんなかわいい!」
「ケロ…照れるわ。」
「そ、それでさー!もし、もしよければ、写真撮らせてもらっても、いいかな…?あっもちろん嫌だったり究極に恥ずかしかったら大丈夫なんだけどね!あまりにもみんなかわいくて素敵だから撮らせていただきたくて、」
「えっ写真撮ってくれるのー?いいよー!撮って撮ってー!」
「(ヒャアアアア!)」

なんと言ったらいいかわからず不審者みたいな口調になってしまったが、すかさず話を聞いていた三奈ちゃんが快諾してくれて、梅雨ちゃんと並んでイエーイ!とポーズをとってくれた。お言葉に甘えてカシャカシャ写真を撮る。すると数枚撮ったところで「みんなも写ろうよ!」と三奈ちゃんが声をかけ、他の子たちも集まって来てくれた。

み、三奈ちゃんも女神か〜〜!!!!
好き!!!!!

「こうやって撮ってくれる人いないから嬉しいね!」
「いやー、やっぱハズいって…。」
「ほら!片腕はこう!」
「こう、ですの?」
「梅雨ちゃんのお友達?」
「ええ、C組の名前ちゃんよ。」

「(やば…。)」

漏れそうな声を必死に抑え、心を殺し、真剣に写真撮影に取り組んだ。みんなが目の前で話していて、そして私に話しかけてくれて、もう感無量だ。マジで頭おかしくなりそう。ヒロアカファンならみんな理解してくれ。あのチアコスチューム考えたの天才か…。漫画読んだ時はそこまで考えてなかったけどこうして目の前にすると確かにめっちゃいいな。最高。サービスすぎる。

「ねえ、せっかくだから一緒に写ろうよ!」
「うぇっ?!いやわたしは、」
「いいわね。」
「アタシ自撮り得意だよー!」

するりと手からスマホが抜かれ(恐らく透ちゃん)、ぎゅうぎゅうとチアガールたちに挟まれる。きっと右を見ても左を見てもあのA組女子たちがいるであろうこれ以上ない状況に、ガチガチに固まってしまってスマホの画面しか見えない。もはやそれすら焦点が合わない。
え、まって、せっかくの写真、かお、顔、わたしどんなかおすればいいの?そうだ、笑わなきゃ、一番いい顔で、え?いい顔ってどんな顔だっけ?みんなの引き立て役はもちろんなんだけど同じ枠の中に写るんだからせめてそれ相応の顔をしなければみんなに申し訳ない、待って今思い出すから待って、アッすごいこの空間すごいいい匂いするすごい…

「撮るよー!3、2、1、ハイッ!」

何の準備もできていない状態で透ちゃんの掛け声と共にシャッター音が鳴り、はっと我に返った。あぁ、失敗した…。
しかし直後に「もう一枚!ハイ!」と言ってくれたので、今度こそ目の前のカメラに集中にして笑顔を作った。よ、よかったー!

「ありがとう、ありがとう…!あ、写真現像して、梅雨ちゃんに渡せばいいかな?」
「データごとほしいから連絡先交換しましょう。」
「!!」
「あ、アタシも他クラスに友達ほしい〜!交換しよっ。」
「あたしもー!今持ってくるから待ってて!」

さすがヒーロー科、陽キャばかり、コミュ力の鬼。実はオタ活していたなんて知らずにこんな私と連絡先交換したり友達になろうとしてくれたりするなんて…。おかげで恥ずかしがり屋さんと思われた耳郎ちゃんやヤオモモとも連絡先を交換できてしまった。
ふと冷静になり、同意とは言えやっぱり写真撮影してそれを保存しておくのはやばいなと思ってくる。なんせ下心がすごい。こんな若くてかわいい子たちに邪心を持った自分が恥ずかしい。何がチア最高だ。いや最高なんだけど、今となっては罪悪感の方が強い。
これらのデータを本人たちに送ることで気持ちを成仏させなければ…。集合写真は私も写ってるからギリ大丈夫かな?それだけ記念にとっておこう…。

「ごめん…ありがとう…データ送るね。」
「えぇ、こちらこそありがとう。レクリエーションは出るの?」
「あ、うん、私はこっちが本番かも。」

「がんばって。」
「ファイトー!」
「応援してるー!」

持っているポンポンを振りながらみんなが声をかけてくれる。信じられない。あのA組女子たちが、私を見て応援の言葉をかけてくれているのだ。本当に生きていてよかった。諦めずに雄英に来てよかった…!涙ぐみそうになるのを耐えながら頷いてその場を去る。どの競技も力の限り戦ってやるぞ!!





「あ、やっと戻ってきたー。」
「大玉転がし始まるよ!」
「えなんかめっちゃ笑顔なんだけど。怖。」

いつものお昼メンバーが迎えてくれる。「お待たせ!勝つぞ!」と拳を掲げたら高校の友達以外の二人だけが乗ってくれた。チアガールに応援されたからにはレクリエーションも全力でやらねばならないのだ。
レクリエーションのあとに始まる個人戦のトーナメント表が目に入る。桃ちゃん、三奈ちゃん、お茶子ちゃん出るんだったなぁ。がんばれって言えばよかった。そこまで考えが至らなかった。とくに、お茶子ちゃんは勝己君とだから正直とっても怖い。みんな怪我とかしないければいいけど、きっとするよなぁ、戦うんだもん。私は痛いの無理だからやっぱりヒーローってすごすぎ…。
レクリエーションの結果、大玉転がしはヒーロー志望の子とペアだったからどうにかその組で1位をとれたけれど借り物競走は普通に無理だった。誰だよ般若のお面って書いた奴!雄英体育祭にあるわけがないだろうに…。途方にくれつつ一応観客席に呼び掛けたら、何故か持ってるお客さんがいた。完全に仕込み…。お面を観客席から投げてもらうのも罰当たりなので、席まで取りに行って戻ってゴールしたらビリから2番目だったのだ。きっといい個性の子がいればこんな走る必要なかったんだろうなぁ。少し落ち込んでいたら峰田君が現れて、どうやら彼の借り物は「背脂」だったらしいのでそれよりはマシかと思えた。ということは私より遅かった子の借り物は紙には何て書いてあったんだろう…本当に借りれる物書いてるんだろうか。

レクリエーションのあとはいよいよ個人戦が始まった。出久君対心操君の対決は私が知っていた通りの展開となったのでほっとしたような複雑なような、それより出久君の紫を通り越えて真っ黒に見える怪我に血の気が引いた。ヤバすぎマジであんな怪我しょっちゅうやるの?やってるの?考えられない!痛すぎる!!無理だ早くリカバリーガールに治してほしい…。あっ心操君戻って来てみんなに声かけられて嬉しそうな顔してる。よかった。と思ったらウワ轟君まじえげつな。一瞬で終わってしまった。個性最強ワケあり家庭育ちのイケメンか…早く幸せになってほしいな。きっと出久君パワーでなるのだろう。次はその二人があたるから何かあるんだろうな〜〜!!!!

一回戦最後は勝己君とお茶子ちゃんの対決だ。私、ここから知らないんだよなぁ。読んでない。いよいよ私の第二の人生が始まるのだ。きっとヴィランに襲われたりして成長していくんだろうけど早速もう展開わからんし救済とか無理で本当申し訳ないが私は私なりに清く正しくがんばってこの世界で生きていくから多少の出しゃばりは許してほしい〜!神様!せっかく雄英に通えたから〜!!



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