女王がある教室を開けると、そこにはチェシャ猫、帽子屋、三月ウサギ、そして白ウサギと彼にべったりなアリスの姉がいました。

「お疲れ様です、名前さん」
「本当だよ」

 白ウサギの言葉にアリスは疲れ切った顔で答えました。「楽しかっただろう?僕が考えたシナリオはどうだった?」「まあまあ」。グダグダ過ぎたとは賢いアリスは口が裂けても言えませんでした。

「だいたい名前ちんが黙ってどっか行くから悪いんだよ」
「黙ってません言わなかっただけですう」
「こうして会えてわたし嬉しいなあ」
「オメーはテツがいりゃいいんだろうがよ」

 アリスは気付きました。全然こんなの不思議の国のアリスではない、と。大方面倒になったかどうかで全員が登場した時点でこのストーリーを女王が強制終了させたところだろう、と彼女は考えました。みんながわいわい会話している時それを庭師に伝えたところ、彼はおそるおそる頷きました。

「まあこうして名前っちのコスプレ姿拝めたんでー、俺楽しかったっス!」
「うむ、たまにはこういうのも悪くないな」
「もう二度とやらないで」

 つまらないし迷惑だから、とアリスは心の中で付け加えておきました。「ねー、お腹空いたー」「そうだな、みんなでこれからご飯でも食べに行こうか」「いいですね」。それはアリスも賛成です。とりあえずこの水色のワンピースを脱ぎたいということを伝えると、白ウサギが手を引いて教室から連れ出してくれました。空き教室に入り、いつの間にか持っていた紙袋からアリスの着替えを出します。いつの間に自分の私服を持って来たのか。アリスは不思議でしたが、今更過ぎたので気にせず、出て行けと言っても聞かない白ウサギが背を向けたのを確認して急いでワンピースを脱ぎ下着姿になりました。

「名前さん」
「ヒイイイイテメエエエエエ」

 突然白ウサギがアリスを背後から抱きしめました。するとその手はアリスの太ももの内をするりと撫でます。ゾクリとしました。「ひどいじゃないですか、アリスは、本来僕が目的なのに」。少し気を許し過ぎたようです。この状況からどう逃げ出すか必死に考えましたが、突然の事にどうすればいいのか頭が真っ白でした。

「僕をもっと求めて下さいよ、アリス」

 白ウサギはそう言って、アリスの首筋にキスをしました。彼女の肩がぶるりと震えます。「…テツ、」。











「という夢を見たんですが」
「よかったじゃんアリスってオリジナルも夢オチだからね」
「最後惜しいですよね」
「思ったんだけどテツってわたしのこと好きなの?」
「今更ですね」
「今更ですか」
「最後だけ、正夢にしませんか」
「断る」

「ちなみに最後を省いてだいたいをもう赤司君には話しました」
「フラグ立ったじゃねーかテメー!!」

 青いワンピースを持ったさつきさんが現れるまであと十分。
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