※大学生設定


「あーもう本当にもうやだ」
「…なんだよ」
「男運なさすぎる」
「……それ5回目だぞ」

そういうと苗字は、はあと深いため息をついた

恒例になった彼女との集まりという名の飲み会。今年に入ってもう4回目になる。
彼女とは高校時代からの仲で、彼女が振られるたびに呼び出されては愚痴を聞くという感じだ。
大学に進んでからも俺たちの仲は続いて、今でも度々呼び出されては愚痴を聞いている。
20歳を過ぎた今は酒も入ってきて高校時代なんかよりよっぽど厄介になってきた。

目の前の缶チューハイを飲み干した彼女はぼーっとした顔で俺を見てきた

「なんだよ」
「…だれかいい人いないの?」
「それ毎回言うよな。
そのくせ俺の勧める人はことごとく無いっていうだろ」
「それは南のセンスの問題」
「バッサリくるなあ…」

普通ならこんな愚痴を毎回毎回聞いてられないだろう。これも惚れたもんの弱みとか何とかいうものか

最初は何とも思ってなかった。恋の相談にのると恋に落ちるってまさにそうだ。苗字が毎回振られる男たちなんかより俺の方がお前のこと幸せにできるって、俺にしとけって…

そういえば考えたことあるだけで一度もそれらしいことも何も言ったこと無かった。苗字も酔ってきてることだし言ってみるのも悪くないかもしれない。もし後で問い詰められても酔ってたって言い訳にできるしな…

「本っ当あいつなんなの?むかついてきたー!」
「なあ苗字」
「ん、なに?」

何缶目か分からないチューハイを飲み干し缶をトンッとテーブルに置くと虚ろながらも苗字の瞳が俺を捉えた
だいぶ酔ってるな、よし

「なあ、そんな男やめにしてさ、俺にしとけば…?」

一瞬間が空いた後、手を口に当ててこちらを見ながらキョロキョロしている

なあ、その真っ赤な顔は期待していいのか?



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