放課後の教室
電気は消され窓から射し込む夕日だけが教室を照らしている
教室にいるのは私と同じクラスの忍足侑士
机に突っ伏している私とその前の席に座り向かい合うように座る忍足
どうしてこうなったかというと、先ほど私は1年間付き合ってきた彼に振られたところで、教室の机に突っ伏して半べそをかいていたらなぜか忍足が入ってきて前の席に座ったというわけだ。
本当は1人で大泣きしたい気分だったのに忍足が来ちゃったから恥ずかしくてないてなんかいられないし、だからといって歪んでいるであろう顔を上げることも出来ない
でも何故か落ち着いてきて、忍足になら話してもいいかなーなんて気分になってきた
「あのね忍足」
「あぁ」
「私、振られちゃった…」
「…………知っとる」
「え、知ってたの?」
思わず顔を上げてしまった
私の顔を見た忍足はふっ、と柔らかく微笑んだ
「現場を見た…っちゅうのは嘘になるけど、 苗字の様子見たら分かるわそれくらい」
「何でも分かるのか、忍足は。
あのね、私2番目だったんだって…」
「は?」
「笑っちゃうよね、どんだけ男運ないんだって感じ…」
自虐したら笑えるかなって思ったけどそんなことなくて。目頭が熱くなるのを感じて再び顔を伏せた
すると忍足が私の頭をポンポンと撫でてきた。
忍足なりの優しさだろうとまた泣きそうになる
「なあ苗字…?」
そう言った後の言葉がなかなか来なくて伏せていた顔を少し上げ、目線だけ忍足に向けた。
目が合うと私の頭に手をのせた
「俺にしとけへん?」
私の思考が追いついて顔が真っ赤になるまであと少し