ショウとナツキに夏休みをあげると2人は旅行に行くと行ってマスターコースの寮から出て行った。
別に1人でもよかったけど、前々から来たいと言っていた名前の事を思い出し2人が出かけている間だけ彼女を泊める事にした。


名前が泊まりに来た初日、夏の風物詩の怖い話を集めた特番みたいなものをテレビでやっていた。ボクは怖くも何ともないし、そもそも幽霊なんてものを信じてないけど彼女は違ったみたいで、番組が終わってからボクに抱きついて離れない。

「ちょっと名前、暑い」
「だってぇー…」

ふう、とため息をつく。まったく、ナツキじゃないんだしそんなにくっつかないで欲しいよ。…って言うと嘘になるけどさすがに暑い。ショートでもしたらどうするのさ。

「…、ボク飲み物取ってくるよ」
「わわ私も行くっ」

ボクが立ち上がると慌てて名前も立ち上がって部屋を出るボクの後に付いて来た。それからボクにぎゅっと抱きついた。

「……動けないんだけど」
「わあっ、ごめん!」

ぱっと体を離すと名前はボクの腕にしがみつくように腕を絡めてきた。
すぐそこのリビングの冷蔵庫から飲み物を取るだけなのになんでこんなに怖いんだかボクにはサッパリだよ。

「ふぅー」
「ため息つきたいのはこっちだよ、まったく…。本当どこが怖かったの?全部作り物じゃない」
「でもすごいリアルだし本当に出てきそうで…」

名前の目に涙がうっすら浮かんだ。きっとさっきのテレビを思い出していたんだろう。
その時何とも言えない感情がボクの中を駆け巡って、気が付いたら名前を抱きしめていた。

「藍、ちゃん…?」
「…分かんないけど、抱きしめたくなった」

きっとボクの体は熱くなっていて、多分顔も赤くなってる。それを見られたくなくて名前の後頭部を押さえボクの肩に押し付けた。

「大丈夫、ボクが、側にいるよ」

なんてクサい台詞だろうと思ったけど、これで名前の恐怖感が少しでも消えたら。そう思って名前を精一杯抱きしめた。

それにあんな可愛い顔、幽霊にだって見せてやるもんか。




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うたプリ進出
藍ちゃんだいすきです



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