俺は今、亜久津の彼女のなまえちゃんの髪を結んであげるところだ。姉ちゃんの髪を結んでるうちに段々うまくなっていって、今ではクラスの女の子達の髪も結んであげたりする。
なまえちゃんに結んであげるのは今日の亜久津との放課後デートの為。朝クラスに入るなり俺に「今日仁とデートだから髪結んで!」と言ってきたのである。当然断れる訳もなく(あんな笑顔で言われたら尚更)じゃあ放課後ね、と約束をして今に至る。

…と、まぁ前置きが長くなったけど、実際結ぶのはこれから。さらさらと栗色の髪をとく。

「あ、仁だ」

ふと顔を上げるとこちらに向かって歩いてくる亜久津が見えた。「仁ー」と呼ぶなまえちゃんに反応して亜久津がクラスに入る。すると足を止め、目を大きく見開いてくわえていたタバコをポトッと落とした。こらこら、学校でっていうか中学生がタバコ吸っちゃダメでしょ!

「おい、千石」
「やあ亜久津」
「やあ、じゃねぇ。何してんだテメェ!」
「キヨ、髪結んでくれてるの」

にこにこと答えるなまえちゃんを見て一瞬表情が柔らかくなったと思ったら、また険しい顔をした。

「千石、手を離「キヨー結んで!」」

亜久津はなまえちゃんに遮られて唖然って顔してる。

「あ、そうだ。なまえちゃん、今日はどうする?」

髪をとく手を止めてなまえちゃんの顔を覗いた。まあ、当然顔が近づくわけで。

「おい!近すぎだ」

んーとね、となまえちゃんが考え始めた途端亜久津がその言葉を遮った。

「え?…あぁ、メンゴメンゴ!でもそんなつもり無いから安心してよ、亜久津」
「ハッ!どうだかな?」
「亜久津の彼女狙おうなんて恐いことしないってー」
「信用出来ねぇな、テメェは。大体、「仁、キヨに意地悪しないでよ」…!!」
「仁の事は気にしなくていいから!可愛くして?ね!」
「あ…うん!任っせてー」

今度はなまえちゃんが亜久津を遮った。亜久津を黙らすなんて強者だなー、なまえちゃん。

そんなこんなしているうちになまえちゃんの髪は結びおわった。
シンプルにポニーテール、だけどコテで髪を巻いてふわふわにした。シュシュは淡いピンクでなまえちゃんにぴったりだ。うん、我ながらいい感じに出来たと思う。

「完成っ!どう、なまえちゃん?」
「ふわふわー!ありがとう、キヨっ」

俺にお礼を言うとぴょんっと椅子から立ち上がって亜久津のところまで向かって行った。

「ねぇ、仁。どう?可愛い?」

上目遣いで訊ねるなまえちゃんは髪のせいもあって、すごく可愛い。亜久津は照れたなのか、ふいっと顔を背けてしまった。でも耳が真っ赤だ。分っかりやすーい

「まあ…見れなくもねぇ」
「ふふ、ありがとう!じゃあ、キヨに感謝だね?」
「……」
「…ね!」
「お、おう…」

複雑な顔で頷く亜久津。そりゃ当然だよねなまえちゃんの事を可愛くしたのは野郎の俺で、でも俺に感謝しなきゃいけないんだもん

でもこんな亜久津となまえちゃんを見てるとなんだか微笑ましくなってくるなぁ。取りあえず、なまえちゃんが喜んでくれたし良かった良かった!


(千石テメェ、後で覚えてろよ)(え、えぇ!?)(どうしたのキヨ?)(な、何でもないよ!デート楽しんで来てね!!)((なまえちゃんに聞こえない声で行ってた…。マジだよ亜久津…!!))




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初亜久津
山吹では室町と並んでツートップです\(^^)/

亜久津難しい…!!



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