日吉は越前くんとの試合に負けてそれはそれは凹んだ。
かと思いきや、翌日にはそんな様子1ミリも見せずに朝練に1番乗りしていた。

「おはよう日吉、早いじゃん」
「…まなあ。でも普通だろ?」

普通な訳ないじゃん
いつも朝練の1番乗りは私なのに、今日はその私よりも30分以上は前に来ていた。おかげで準備は万端だ。少なからず凹んではいるんだろう、私には分かる。
もしかして、家に帰ってから泣いたりしたんじゃないだろうか、夜眠れなかったりしなかっただろうか
そんな不安がよぎるほど今日の日吉はいつもと違った。

あと30分もしたら部員が集まってくるだろう
その前に何か話がしたい

「ねえ、日吉
昨日はお疲れ様。…ちゃんと眠れた?」
「ああ、大丈夫だ」
「そっか、それは良かった。
昨日の試合は、さ…「俺は負けたんだ」」
「え」
「俺は負けた。氷帝の勝敗を決める大事な試合で負けたんだ。…もうレギュラーから外されるかもしれないな、」
「そんな…!!」

思わず私は日吉の側に駆け寄った

「日吉は…日吉は、格好良かったよ」
「は?」
「昨日の日吉、格好良かった。今までで1番。日吉にしかない演舞テニス凄かったし越前くんに勝てるって思ったの私だけじゃないはずだし!それから、
それから…」

そして目頭が熱くなったと思うとぽろぽろと涙が溢れてきた
それを見た日吉はフッといつものような顔になって笑った

「何泣いてんだ。俺が泣かせたみたいだろ」
「実際そうだし、」

うるせえ、と言いながら親指で目尻に溜まった涙を拭ってくれた

顔を上げると日吉と目が合った

「なあ、本当に格好良かったか?」
「え?………うん、すっごく」
「そうか、」

言い終わると私を引き寄せ肩に頭を置いた

「ありがとな」

そう日吉が言ったのを私は聞き逃さなかった

「しばらくこのままでいさせてくれ」

私は小さく返事をして両手を日吉の背中に回した

それから部員が1人来るまでずっとこのままだった

日吉は絶対認めないかもしれないけど、彼は私の肩で泣いていた
だって肩に涙のシミがあったし



ちなみに私たちの後に来た部員は長太郎だったらしく、大丈夫だよとウインク付きで言われてしまった
何が大丈夫なんだという話だけど

私の肩で泣いた(?)後の日吉はなんだかすっきりした顔をして、いつも以上のやる気で向日先輩をこてんぱんにしていた。
何本気出してんだよ!と怒る向日先輩に笑っている日吉にドキッとしたのはまた別の話



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お久しぶりです
先日のドリライで氷帝の良さを実感→青学VS氷帝のCDで下剋上を聞く
というような流れで出来ました



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