「なぁ、日吉の兄貴の名前って"いなだ"なのか?」
部室で着替えていたらいきなり向日さんが話しはじめた。
「岳人、何でいなだなんや?」
「わかしの次はいなだに進化するからだぜ!」
えっへん、とでも言いそうなくらいに胸をはって自慢気な向日さん。だいたい何だよ、進化って。
「進化ぁ?…魚の事か?」
「ピンポーン!亮、正解!!」
「確か"わかし"って魚いましたよねー」
「日吉が魚……ぶふっ」
ほんわかと言う鳳に対して目に涙を浮かべながら笑う忍足さん。
「いなだの次は"わさら"、最後が"ぶり"だぜ!」
再びえっへん。
褒めてオーラ全開な向日さんに忍足さんが「よう勉強したなー」と頭を撫でている。わー、向日さん嬉しそう。
「て事は、お父さんがわさらでお祖父さんがぶりですね!」
「おー、そうだな!」
目をキラキラさせながら言う鳳とそれに爽やかな笑顔で応える宍戸さん。
というか、本人そっちのけで勝手に話を進めないでほしい。だいたいお祖父さんがぶりってどんな家だよ。
「じいちゃんがぶりだったら、日吉ん家は魚食えねーなぁ」
「共食い……ぶふふっ」
食べるさ。昨日の晩飯は焼き魚だったよ。しかもじいさんの好物は魚だ。
まったく頭の悪い人達だ。何でこの人達に下剋上できないのか不思議でならい。
着替えを終えて部室を出ようとすると向日さんに声をかけられた。
「なぁ、日吉も行かねぇ?回転寿司」
「はい?」
「長太郎がそこの寿司やで"わかし"見たんだとよ」
「お寿司かー。美味しそうだCー」
何言ってんだこの幼なじみ組は。
忍足さんは心なしかわくわくしてるし。鳳は相変わらず目をキラキラさせてるし。
「結構です。皆さんでわかしでも食べてください。」
忍足さんがまた吹き出した気がしたが見なかった事にしよう。
帰って昨日の心霊現象のテレビでも見るとするか。
…ところでわかしってうまいのか?
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わかし、美味しいですよ\^q^/
ちなみに、わかし→いなだ→わさら→ぶり の順に進化します
わかしくんは出世魚なんですね