朝ごはん
#オチが謎。
ある朝。今日は休日なので、いつもより遅くに起きた。
まだ覚めきっていない目を擦りながら布団から起き上がり、カーテンを開ける。そして太陽の光を浴びながら伸びをする。いつもの日課だ。ようやく覚醒してきた俺に真っ先に飛び込んできたもの。
コゲた鯖のにおい、と………
「うわああああ」
男の叫び声。
俺は特別頭がいい訳でも、推理力があるわけでもないが、俺の家で誰が・何をしているかすぐにわかった。
「うわああああ」
叫び声がやまないのでとりあえず声の発信源へ向かうことにする。
「何でコゲるの?うわああっ」
そこには、案の定。
「何してんだ、真琴…」
「あ……おはよう、はるちゃん。 いい朝だね☆」
「どこがだ」
朝から謎のテンションの真琴がいて、その手には炭と化した鯖が。
真琴が戦ったとみられる台所はそれはもう、すごいことになっていた。
「真琴、もう一度聞く。
何してんだ。」
「あ、朝ご飯…作ろうと思って」
鯖を焼いてたら爆発したんだ、と続ける真琴。鯖が爆発なんて聞いたことがないが料理下手な真琴ならやりかねない(かもしれない)。
ぐつぐつ。
さっきから耳にさわるこの音。
「…何の音だ?」
「ん?……ああっ!
味噌汁が沸騰してるっ…」
「…もういい、俺がやる。
お前は部屋にいろ。」
「うう…」
俺はむごい状態の台所を片付け、真琴が作り出した悲劇の産物(朝食)を処理し、なんとか食べられそうなところだけ皿に盛り付けて真琴のいる部屋に向かった。
「……不味い。」
「…やっぱり?」
いくら食べられそうなところだからと言って、真琴が作ったことには変わりなくなんとも まぁ、個性的な味だった。
「何でこんなに不味いんだろ…」
つぶやく真琴。
それは俺にとってもナゾだ。
…それにしても。
「何でいきなり朝飯を
作ろうと思ったんだ?」
一番疑問に思ったことを尋ねた。
「ハル、いつも夜ご飯とか作ってくれるから、お礼しようと思ったんだ…。」
しゅん、と肩を落とす真琴。
鯖を無駄にしとことを怒ってやろうと思ったが、今回は見逃してやることにする。
「気持ちだけもらっておく。
ありがとう。」
「うー…でも、お礼したいよ…」
「…礼なんていらない。俺は真琴に食べさせたいから作ってるだけだ。」
「ハルぅ……」
料理下手な嫁さんには旦那が料理作ってやらないといけないだろ。なんて言ったら真琴がきっと調子に乗ると思ったから、止めた。