マコト先生の告白












頭が真っ白、とはまさに今の状態のことだろう。




真琴先生とキスをしている。



何故。理由は知らない。いつものように保健室に来て、先生と喋って、それで……


「ハルくん、好きだよ」


そう言い放っていきなり唇を塞がれたのだ。それもなかなかディープなもので。


「んんっ、……ぅあ、」


自分が出しているとは思えない声が出ている。鼻にかかった女みたいな声。恥ずかしいなんて思ってる余裕もなく息苦しさでいっぱいだった。


保健室で、男同士、しかも教師と生徒という立場で。背徳感が重なりあってむしろ快感を覚える。好きな人とキスする喜びを味わった今、もっとしたいと思ってしまう自分がいる。

それでも終わりの時は近づいて。唇が離された。途端、冷静さが自分の中によみがえってきて、ピンク色だった頭が真っ白になっていく。

突っ込み所が多すぎてどこから触れたらいいのか皆目見当もつかない。とりあえず、えーっと。


「……真琴先生?」

「ハルくん…」



熱を孕んだ声が聞こえたかと思うと俺は先生の腕の中。抱き締められていた。

身長差から自然と俺の頭が先生の胸板の位置にあって。先生の鼓動の音が耳に流れ込んでくる。ドクドクドク。物凄いスピードだ。それにつられてか、俺の心臓まで激しく脈打ち出した。顔が火照るのがわかる。


「ハルくん、好きだよ。好きなんだ。」


追い討ちをかけるように先生の言葉が俺を襲う。嘘か真か、夢か現実か。頭がショート寸前でよくわからない。


「言うつもりなかったんだ。でも押さえきれなかった。」


顔を上げて先生の顔を見る。真っ直ぐな瞳が俺を射抜いた。ああ、本当なんだ。夢じゃないんだ、現実なんだ。一瞬でわかるほど先生は真剣な顔をしていた。



「俺も好き」


最初は言うつもりなんて毛頭も無かった言葉がすんなり出てきた。溢れ出した、の方が正しいかもしれない。

言うと同時に、宙をさ迷っていた手を先生の背中に回す。白衣を掴む。

そのとき先生は目をいっぱいに見開いて。嘘、と呟いた。


「俺も嘘かと思った。」

「ハルくん、本当なの…?」

「本当だ。信じろよ、先生。」


何のために毎日保健室に来てると思ってるんだ。先生目当てなんだぞ。先生の胸板に再び顔を埋めながら言う。

すると先生はしがみついた俺を無理矢理引き剥がしてまた激しいキスを始めた。

角度を変えて、何度もキス。やがて先生の舌が俺の口内を犯し出す。絡みあう舌の音が鼓膜にダイレクトに響く。

イイ雰囲気真っ最中なのに、俺はやっぱり息が出来なくて。先生の背中をドンドンと力の限り叩いた。


「苦しい……」

「…っ、今のはハルくんが悪いんだからね!!」

「え。」

「あんまり可愛いこと言わないで。止められなくなる。」


どうやら俺の告白が先生のスイッチを押してしまったようだ。

髪をクシャっと掻き上げて何かに耐えるように佇む。普段は見られない、切羽詰まったような表情。

本当に先生は俺のことが好きなんだな。改めて自覚した。





「ハルくん、もしハルくんが高校卒業して…それでもまだ俺のこと好きでいてくれたら


一緒に住もう?」


「…真琴先生」

「あ、嫌ならもちろん断ってね!」

少しぶっ飛んだ話でビックリしただけ。断る理由なんて無いの先生も知っているくせに。


「真琴先生……3年待ってて。」

「ハルくん、それじゃ…」

「3年間何もナシとかは嫌だからたまにはデートとか連れていけよ、真琴先生。」

「…ふふ、当たり前だよ。」






天然タラシで優しくて、スイッチ入ると猛獣みたくなるマコト先生は今日から俺の彼氏になった。

――ああ、早く卒業したい。






***
一応本編は完結になります。
これからは番外編と言うカタチで書いていきますね。

観覧ありがとうございました。

どうぞ今後も
よろしくお願いします。


2014年1月31日 管理人 kota_2

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