君が手を繋ぎたそうにしてるの気付いてたからわざと、ポケットに手を突っ込んで歩いた
甘いの目指して失敗ぱーと2。
そして短い。
真琴とは生まれたときからずっと一緒にいる。もう17年くらいになるだろう。これぐらい長くいるとお互いの気持ちを感じることが出来るようになってくるようで。
「あ、ハル昨日頭ちゃんと拭いてないでしょ!ダメだよ、風邪引いちゃうよ!」
「………」
「ハル今、俺のことお母さんみたい、って思っただろ!」
「………」
「あれ、ハルマフラーは?忘れたの?俺の着けてて……え?何でって寒いんでしょ?」
「………………」
真琴の気持ちを感じる能力(ただし、俺に限る)は名人級で。俺は戦慄を覚えた。下手すればどこぞの超能力者よりも正確だと思う。そんな真琴を前にして、俺のプライバシーはあって無いようなものだ。
「…もう真琴、俺の考えてることをいちいち読み取るな!」
「あ、ごめん!つい癖で…」
ヘラリ、と笑って言う真琴。真琴には悪いが少し苛ついた。そんな俺を尻目に真琴は、
「はい、ハルあんまん買ってきたよ。あ、もちろんハルは肉まんね。ハル甘いの苦手だもんねー。」
「……」
俺の食べたいと思ったものを買ってくるからますます腹が立つ。
そんなとき、何の反抗心からか妙案を一つ思い付いた。いつもは真琴が俺の気持ちを感じ取っているが、逆に俺が真琴の気持ちを読んで、読んで、読み取りまくったら真琴が困るのではないか、と言うことだ。いつも俺ばかりでいたたまれないから、軽い仕返しのつもりだ。
早速有言実行。俺は肉まんを頬張りながら真琴の顔色をうかがう。
「……」
「………わ、何?ハル。見つめたりして」
「……っ!」
「どうしたの!?ハル、急にビクビクして」
「……っ、もう俺は金輪際、お前の気持ちなんか読まないからなっ…!!」
「え、え?何の話ぃ?」
君が手を繋ぎたそうにしてるの気付いてたからわざと、ポケットに手を突っ込んで歩いた
(ハルと手繋ぎたいなぁ)
(誰が繋いでやるか。)
title by 確かに恋だった