一度くらい、愛してよ

甘々目指して失敗。








週末ハルの家に泊まるのは昔から恒例だ。一緒にご飯食べて、お風呂入って、やることヤって。そこから一緒のふとんに入ってまったりするのが俺は好きだった。


「ハル、愛してるよ」


向かい合って―…半ば抱き締めるようにして寝ているハルの髪をすきながら言う。これも、恒例のことだ。そして俺のこの呟きにハルは決まってこう返してくる。


「…ああ、俺も真琴が好きだ。」


ハアア、と俺はため息をつく。またか、と言う意味合いのため息だ。ハルはいつも'愛してる'と言う俺に対して'好きだ'と返してくる。絶対に'愛してる'とは言わないのだ。別にハルに好きと言われるのは嫌じゃないし、むしろ嬉しい。ただ、'好き'と'愛してる'は全然違うように感じる。俺だって、ハルから'愛してる'と言われたいのだ。


「ハルゥ…たまには愛してるって言ってよー」

「好きって言っただろ。」

「嬉しいけど何か違うんだって!!」

「嫌だ。」


'愛してる'と言うのを頑なに拒むハル。ここのところ毎回断られているのだ。ここまで来ると、色々と不安になってくる。


「何で嫌なのー?」

「嫌なもんは嫌なんだ。」


一刀両断。とはこのことなのだろう。ハルは俺から目を逸らしながらキッパリと言い放った。断り続けられた俺にこの状況を受け入れるメンタルは無いわけで…。自分でも女々しいな、なんて思ったが時すでに遅く、涙が溢れだしていた。


「…っ!? なんで泣く、真琴?」

「ぅ、わかんな…っい…」


涙を止めようと必死な俺。
手に取るようにわかるほど慌てているハル。
俺たちの間にしばらく沈黙が流れた。










「 愛してる、真琴 」








「…へ、」


沈黙を破ったのはハルの声だった。しかも‘愛してる’と言った。驚きすぎて涙も引っ込む。ハルの方を見ると、そっぽを向いたハルの耳が真っ赤に染まっていた。


「ハ、ハル…今…」

「だから言うの嫌だったんだ…恥ずかしい…」


目線を逸らして、手で顔を覆いながら言うハル。こんなハルを見ていると俺まで恥ずかしくなってきて心臓がバクバク鳴り出す。こころなしか、ハルの心臓の音もいつもより早い気がした。






一度くらい、愛してよ
(…やっぱり‘好き’でいいよ、ハルゥ)
(安心しろ、二度と言うつもりはない。)



title by 確かに恋だった


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