いつもの年越し
お正月(大晦日)ネタ。
大晦日。
毎年真琴と一緒に年を越すのは言うまでもない。もちろん、今年もだ。真琴と一緒に大掃除して、一緒に夕御飯の買い出しにいって、6時半から某有名番組が始まるのでそれまでにお風呂に入って。
「真琴、蕎麦できたぞ」
「わ、ありがとーハル!」
俺の作った蕎麦を食べて年を越すのだ。
「…ってナニコレ!?」
「鴨南蛮ならぬ鯖南蛮だ。」
「また鯖!?」
「文句があるなら食うな。」
「や、食べるよ。いただきます!」
「いただきます。」
独りで暮らしているハズの俺の家に響き渡る2人分の蕎麦をすする音。当たり前のようになっているけど心の中では凄く感謝してるんだぞ、真琴。ー…そんなこと、言えるはずもないけど。
「ごちそうさまでしたー!ありがと、ハル。すっごく美味しかったよ。」
「お粗末様。当たり前だ。」
「片付け、手伝うよ」
「や、いい。お前はゆっくりしとけ。」
「…そう?悪いけどお言葉に甘えちゃうね」
こんな会話も今年最後かと考えるとなんだか特別に思えてくる。思い出に浸るとか、そう言うガラでもないが、自然と今年あったことが思い出されてくるのだ。
渚との再開。水泳部の設立。怜との出会い。大会、合宿…。本当にいろんなことがあった。そして、いつも中心には真琴がいた。こんなにいい思い出が出来たのも、今がこんなに充実しているのも真琴がいたから、と言っても過言ではないだろう。本当に、感謝してるんだー…。
「………真琴?」
「………」
「…そろそろ年明けるぞ?」
なんて色々考えながら洗い物を済ませ、居間に戻ると真琴がすやすやと居眠りしていた。てっきり某有名番組を見て爆笑しているだろうと思っていたのに。(まあ静かだったから予想はしていたんだけど。)
「…真琴。 今年も、ありがとう。お前のおかげで楽しかった。見たことの無い景色を、見せてくれたのはお前だ。いつもは言わないけどちゃんと感謝してる。…ほんとにありがとう。来年も、よろしくな。…まあ、聞いてないから言うんだけどな。」
自分でも驚くくらい饒舌にスラスラと出てきた感謝の言葉。真琴は寝ていて聞いてないだろうが今年最後に言えてよかったと思う。
「……ん」
「真琴、」
「…あ、寝ちゃってた!!もう年明けるねー。」
「そうだな」
「ハル、今年もありがとう」
「…あ、ああ。」
「ハルのおかげで楽しかったよ」
<さあ、カウントダウンが始まります!!5,4,3,2,1…あけましておめでとうございます!!>
テレビが年が明けたことを報じている。また、新しい年がやってきたのだ。
「あけましておめでと。今年もよろしくね。」
「…ああ。よろしく。」
やっぱり年が明けて一番に見るのは真琴で。そんな当たり前が今年も、来年も、その先も続いていけばいいのに。
そんなこと言えるはずもなく。
「真琴、初詣行くぞ」
「うん!!」
これも、いつも通り。