こいのやまい
「真琴、」
「なあに ハルちゃん」
部活帰り、町にある唯一のコンビニで肉まんを買って、公園のベンチに座って食べてから帰るのが最近の日課になっていた。
いつものように和んでいると、ハルの口から驚愕の言葉が発せられた。
「…なんか、心臓イタイ。」
「へぇー……えええ!??」
俺は驚いて口に入っていた肉まんを吹いてしまった。他人から見ればこっちの方が驚愕だ。
「真琴、大丈夫か。」
「……そそ、それはこっちのセリフだよ!!」
「少し飛んできたけど、かかってない。」
「肉まんの話じゃなくて!!」
俺はテンパりまくっているがハルはいつものペースで。なかなか話が進まない。
「心臓がイタイ、って何か病気かもしれない!! 病院行こう、ハル!!」
「病院、嫌だ。」
「ハルー…」
自分の体に危機が迫っている(?)って言うのにハルはのんきすぎる。落ち着きすぎだろう。
とりあえず詳しく話聞いて、病院連れて行かないと。
「じゃあハル、どんな風にイタイの?」
「どんな風…」
ハルは口に手を当ててうつ向く。考えているのだろう。数十秒たって、やがて答えが出たのか話し出した。
「真琴といると…心臓がキューっと締め付けられる感じがして、心拍数も多くなったり。…あと真琴が他のヤツと話してるの見たら心臓がチクチクして…あとー…」
「ハル!?ちょ、ストップッ!!」
ハルが口にした言葉を聞いて俺はますますテンパる。
これって、こんなの、まるで……
「…ハルが俺のこと、好きみたいじゃん…」
「…好き、好き。」
俺が言った言葉をハルは何回か確認するように呟く。やがて、ハルが黙りここんだと、同時に俺はとんでもない恥ずかしさと後悔に襲われた。
嗚呼、何てことを言ってしまったんだ。自惚れすぎた。これから、どうすればいいんだろう。
「…れが」
「…へ?」
「これが、好きってヤツなのか。」
「…へ?」
「真琴、好きだ。」
「…へ?」
俺が思い詰めている間に、急展開したようだ。急展開すぎてついていけず、まぬけな声しか出ない。放心している間にハルが俺に抱きついてきた。
「ハハハハ、ハルゥ!?」
「…なんだか、落ち着く。心臓も、イタくない。」
「ーっ……」
ハルが訴えていた心臓の痛みは、どうやら解決したようだ。
それはよかった…けど!!
次は俺の心臓が、
こいのやまい
(俺の心臓は爆発したようです。)