あれからノボリさんが見てくる。熱視線を何度も何度も感じるけど、私からはアクションを仕掛けてあげない。だって私はそんなに優しくないし、ノボリさんの羞恥や苦痛で歪んだ顔を見たいから。だからわざわざ助けてあげるような真似はしない。

そういえばさっきノボリさんとクダリさんが歩いてたな。マルチに挑戦者かな。怪我でもすればいいのに。

そんな事を考えながらもいつも通り仕事を淡々とこなす。自分の欲をひた隠しにして。



「これでもう大丈夫ですよ」

「ありがとうございます!」

「バトル白熱するのはいいですが、怪我しないように気を付けて下さいね」


手当てに使ったゴミを一纏めにしてにこっと笑って告げると目の前の少年は照れたようにはにかみ、もう一度礼を言って立ち去った。
可愛らしいこだったわね。
横にいる相棒のルカリオに笑って言うとフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。あら可愛い。
やっと人が途絶えて一段落。嗚呼、煙草吸いたい。


「ミンク、ミンク!」

「こんにちわクダリさん」


白いコートを翻しながら走ってくるのが見える。
その後ろにいるあの黒いコートは…。
思わずにやりと笑いそうになったけどクダリさんがいる無理矢理押し込めて仕事で使う笑顔を張り付ける。


「こ、こんにちは」

「あれ、ノボリさんまでどうしたんですか?」


きょとんとした表情を作って見上げてやる。そんな顔赤くして…バレバレでしょ。まあその前からバレバレか。あんだけそわそわして私の方何回も見てんだから。


「ミンク、ノボリ怪我した」

「珍しいですね。よく怪我して此処に来るクダリさんが無傷でいつもは怪我しないノボリさんが負傷するなんて」

「酷い、そんなにぼく怪我してない!ちょっと失敗しちゃったり転んだりするだけ」

「人はそれを怪我と言うんですよ」


鞄から薬類を出しながらちらりとノボリさんの様子をチェック。ふふっ、驚いてる驚いてる。自分の片割れの方が私と接してる回数が多かっただなんて思っていなかったでしょう?自分よりも先に話したりしていると思ってなかったでしょう?
ノボリさんが狼狽えているのが手に取るように判る。


「じゃあ怪我した箇所を見せて下さい」






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