一通り仕事を終え、息を吐く。壁に掛かっている時計を見れば短針は2時を指していた。 こんな時間では電車も動いてはいません。 少々仕事に熱中し過ぎました。 凝り固まった体を伸ばして首を回すとぽきぽきという音が鳴った。 仕方がないので今日は宿直室に泊まることを決め、帽子を脱いで机の上に散らばる書類を片付ける。書類をクリップで纏めて机上の端の方に寄せ、コップの中に水を入れて一気に飲み干した。 もうこんな時間ではわたくししか駅に残っていないと思うと柄にもなく物悲しく感じましたが、考えを脳内から追い出すように頭を振った。 全くわたくしは何を考えているのでしょう。いつも一緒にいるクダリがいないから弱気になっているのでしょうか。しかしこうして夜に一人残って仕事をするのは別段珍しい訳でもありません。 わからないと首を捻ってみましたが答えは出ませんでした。 空になったコップを流しで簡単に洗いふきんで拭き、もとの位置に戻す。 もう寝ようかと思い仮眠用のベッドに向かえばそこには先客がいました。 今日もわたくししか残っていないと思ったのですが…。 お世辞にも綺麗とは言えない布団の中で丸まって寝ていたのは最近派遣されたナースでした。確か名前はミンクと言った気がします。駅にナースだなんて不釣り合いもいいところですが、ポケモンの回復は勿論の事、激しいバトルで怪我をしたトレーナーの手当ても必要だろうと本部は判断したらしく派遣されたらしい。せめてナース服を止めれば良いのですがこれを着ないと気合いが入らないらしくピンクのナース服姿。 それにしても女性が一人残業するのは感心致しません。もし不審者が侵入したらどうするおつもりなのでしょう。 じっとわたくしは寝ているその人の顔を眺めていたら、いきなり引っ張られ唇には柔らかな感触。 全てが一瞬のうちに起こった出来事でわたくしは反応出来ませんでした。 そしてわたくしの唇をペロリと舐め、にやりと笑うその人の姿はとても扇情的で目が離せませんでした。 かいこう ← |