その時ギアステーションの裏からよろよろと傷だらけの女性達が出てくるのが見えた。

瞬間、足はそのそちらに向かい手は肩を掴んだ。



「すみません、」

「ノッ、ノボリさん!」


肩を掴んだ女性が嬉しそうな声を上げて他の女性達もわらわらと集まってきて、口々に「こんなところでどうしたんですかー?」「お仕事はぁ?」「一緒にご飯どうですかっ?」。疑問符と甲高い声と無駄なボディタッチの嵐。
わたくしとしては一刻も早くミンク様のところへ駆けつけたいのに!


「すみません、わたくし急いでいますので。ミンク様を知りませんか?急用なのでございます」


口から出たのはまるで早口言葉。
我ながらよくここまで早く口がまわったものだと思う。それほどに焦っているのだろう。


「ミンクさん……ですか…」


一人の女性が小さな震える声で呟いたのをわたくしは聞き逃さなかった。


「何かご存知なのですね」


するとわんわんと泣き始めた女性達にいい加減に苛立ちが抑えきれなくなってくる。


「ミンク様は今どこにいるんですか」


わたくしの一言にばっと一斉に口を開いた。


「あんなやつ!!」

「悪魔よ!」

「ノボリさんはあんな奴のどこがいいんですか!?」

「可愛いわけじゃない」

「性格がいいわけじゃない」

「スタイルだって抜群なわけじゃない」


罵倒雑言。


「黙ってくださいまし!!」



「今聞きたいのはそのような戯言ではありません。もう一度お訊ねします。ミンク様はどこですか」









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