煙草を吹かす。
薄暗いその場所にはよく紫煙が映えた。


「随分と荒れてるじゃないか、ミンク」

「うるさいですよ、ストーカーさん」


人気のない路地裏に立っているのは私、そして恰幅がよい中年の男だけだ。
地面には先程まで私と対峙していた女の子達。


「この子達を差し向けたのはあなたですね?」

「そうだ」


愉快そうに喉を鳴らして笑う男。
ぎろりと睨み付けると笑いを止め、男も冷たい視線を私に向けた。


「何がしたいんですか」

「いやなに、大したことじゃあないんだ。それにお前さんもわかってるんじゃないかな」


そして男は目を細め、言う。


「誰彼構わず鞭を揮う女にはお仕置きが必要だろう?」
















わたくしはスーパーシングルでのバトルを終わらせ、プラットホームに足をつけた。
しかしいつもならばそこにいる筈のミンク様の姿が見えない。わたくしは姿が見えない、それだけで焦燥感に駆られたのです。
いてもたってもいられなくなったわたくし。近くにいた清掃員にミンク様がどうしたのかと尋ねると、女の子と何か話した後どこかに走っていったとのこと。
仕事熱心なミンク様が持ち場を離れていなくなるのはとても珍しい。

嫌な予感が胸をよぎる。

先程の焦燥感は恐怖に変わっていた。

わたくしの世界からミンク様がいなくなってしまうという恐怖に。






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