short | ナノ
 

 

眩しい朝日が私の目を刺激する。
本日は快晴。
…まあ、地下鉄ではその太陽の光も届かないけれど。

“ご乗車ありがとうございました。終点ライモンシティ、まもなく到着致します。車内にお忘れ物なさいませんようご注意下さい。”

駅のホームに滑るように入る電車。

他の客と同様に電車を降りた。
カツン。
高めのヒールが鳴る。

その音を楽しむようにして歩いていると後ろから抱き付かれた。


「おはよ」

「おはようございますクダリさん」


どうやら抱き付いてきたのはクダリさんだったらしい。朝から元気なクダリを見て感心した。よく朝からこのテンションを保っていられるな。


「今日は早いね、お出掛け?」

「はい。オフなので、友達とミュージカル観る約束をしているんです」

「そっか楽しんできてね」

「はい」


クダリさんと会うのは専ら夜。仕事帰りの時だ。朝は時間が合わないのか私とクダリさんは会わない。ノボリさんとは会う時あるけれど。
なので今日は出勤時間よりも幾分か朝早いので遭遇した、と。


「バトルサブウェイにも挑戦しにきて」

「ですが、」

「だーめ。ぼく待ってるから」

じゃあね、と一方的に話しを終わらせ手を振り走っていく真っ白な彼の後ろ姿。

…仕方ない、友達に事情を話して付き合ってもらうか。バトル苦手なんだけどな…。

待たせては悪いと私も待ち合わせ場所に歩みを進めた。
ギアステーションの外に出れば、相も変わらずの真っ青な空。そして明るく照らす太陽。

しかし今朝私には見た景色よりも輝いて見えなかった。
どうやら先程まで予定になかったバトルサブウェイという言葉は私の心を曇らせてくれたようだ。