short | ナノ
 


ポッポが空を飛んでいるのを視界の端に入ってきた。
いい天気だな…。背は芝生に預けて暖かい陽の光を浴びる。
心地よい風が頬をなでて通りすぎていく。


「もう休憩は終わりですよ」

「アポロ様…」

「交代の時間です」


見張りが貴女を捜していましたよ、と申し訳程度に笑っているアポロ様。
早く行ってあげなさいと言われたので重い体を起こし、起きあがる。
もう交代の時間か、先輩に怒られるかな。
服には芝生が少し付いていたので軽く叩いて落とした。


「あなたは本当にこの場所が好きですね」

「はい」


貴方と出会えた場所ですから。


「確かにここの景色は美しいです」

「そう、ですね」


芝生の青が広がり、優しい風の通り道。
ポケモンも人もこ来ない。(空くらいは飛んでるけど降り立ちはしない)
一人になりたい時の格好の場所。


「何故ここには誰も近づかないか知っていますか?」

「いえ」

「それはこの地が寂しい所だからです」


それって一体どういう事なのでしょうか、私にはわかりませんでした。
アポロ様に聞き返そうにもあまりにも悲しそうな顔をしていらっしゃったので聞くことはできませんでした。


「私はまだ此処にいます、貴女は早く仕事に戻りなさい」

「わかりました」


此処にアポロ様一人を残すのは何となく心配でした。
モンスターボールからゴルバットを出して振り返ってみればアポロ様は「さあ早くなさい」と急かしただけでこちらを見ることはありませんでした。
それから私はゴルバットに掴まり自分の持ち場を目指しました。

上昇していく私とゴルバット。
その時見えたアポロ様は泣いているように見えました。