「レッド」 白銀の世界の中一人佇む赤。 名前を呼べばゆっくりとした動作でこちらに振り返る。 久しぶりの赤い瞳に射抜かれ嬉しく思うと同時に少し緊張した。 「迎えに来たよ。帰ろう、マサラに」 私が言うとレッドは首を横に振った。 「レッドは自分よりも強い人を求めてシロガネ山にいるんだよね」 このために私は各地のジムのバッチを手に入れリーグに挑戦した。 3人で旅立ったあの時とは比ではないくらいに強くなったつもりだ。 「私とバトルして」 「………」 「私が勝ったら一緒にマサラに帰ろう」 レッドは相変わらず無表情だったけど足下に控えるピカチュウは僅かに放電して見せ、それからレッドも腰にあるモンスターボールに手を伸ばした。 それを見た私のカイリューが唸り声をあげた。 「わかった」 一言。 けれどその一言には色んな想いが詰まっているんだろう。それはとても重かった。 「レッド、私はあなたをここで倒します」 ← |