「ねえ聞いてるの?」 疼くまっているノボリの腹部を思いっ切り蹴り上げてやると薄い唇から呻き声が零れた。 「返事くらいしなさいよ」 帽子は脱げ床に転がり、露わになっている鈍色の髪を鷲掴みにして無理矢理上を向かせるとノボリの口の端が切れて血が滲んでいるのが目に入る。 やっぱりノボリは赤が似合う。 その赤をべろり舐めてやると熱い息を漏らしたノボリ。 「このドM」 耳元で嘲るような声色で囁いてやれば恥ずかしそうに頬を染める姿はとても扇情的だった。 「誰が天下のサブウェイマスターがドMの変態だなんて思うかしらね」 至極優しく、朱に染めている頬を撫でてやればうっとりとしたような眼差しを向けるノボリは本当に可愛い。 私みたいなサディストには堪らないだろう。 しかし私だってこんな可愛らしい人を手放すつもりはない。 「可愛いよノボリ」 視線が絡み合う。 「食べちゃいたいくらい」 ノボリは恥ずかしそうに目を泳がせた後、小さい声で決まってこう言うのだ。 「どうぞあなたさまのお好きなようにして下さいまし」 ← |