「馬鹿かお前は!」 怒声が飛ぶ。 確かにこれは僕が悪いと思うので、反論も言い訳もしないで正座。 「どうしたら石見てたら二度寝して夕方になるまで寝てるやつがいるんだ」 「……ごめん」 彼の言う通り窓の外からは橙色の陽が射し込みフローリングを彩っていた。 「確かにダイゴが自由奔放なのは俺も知ってるさ。でも、もうお前は副社長なんだぞ、わかってるのか?」 始めとは違う勇めるような、けれどどこか呆れているような色で話し続ける僕の秘書を見上げる。 彼は僕の幼馴染みであり現在は僕の秘書として働いてくれている。 どうして彼が僕のもとで働いているかっていうのは機会があったら、ね。 「お前がいなかったら色んな仕事が滞るんだ。そうなると下の奴等がどうなるのかはわかるよな?」 「うん…」 一応申し訳ないとは思い謝ったけど、脳内の半分以上は違うことを考えていた。 主に、腕組みして僕を見下げる姿もさまになるな…あーかっこいい……女の人からモテるのも納得だよね、とかそんな感じ。 「……俺だって心配したんだぞ。何かあったんじゃないかとかさ」 僕の沈黙を反省と捉えたらしい。 眉尻を下げてそんなこと言っちゃうとかさ、反則だと思うんだよね。 「迷惑と心配かけてごめんね」 内心抱き締めたいとか不純なことがぐるぐると頭の中を駆け巡っているけど、口からはいつものトーンで謝る僕は我ながら凄いと思う。 こういうことは身に染み付いてるからね。 「……わかればよろしい」 ぽん、と僕の頭に手を置いてから遠慮がちに撫でられるような動作を感じて、不純な思考は急停止。 「ちょっ、」 顔をあげるとにこっと笑っている彼の姿があって、熱くなる。 そしてかっこいい笑顔のままこう言った。 「次からはモーニングコールしてやるからちゃんと起きろよな」 ああ、ずっとこの笑顔を見ていたい。 ← |