愛する君
あの後ハリー達を置いて秘密の部屋を出た僕はその足でルシウスの家――マルフォイ邸に向かった。


「ルシウス、ルシウスはいるか」


マナーがどうのという場合ではない。
屋敷下僕のドビーが僕を出迎えたがルシウスをすぐに呼んで来いと蹴り飛ばし睨み付ける。ドビーは小さく悲鳴を上げると僕に頭を下げすぐに姿を消した。
そして2分経つか経たないかというくらいでルシウスが姿現しをした。


「ナマエ様本日はどのような「来いルシウス!なぜ僕が怒っているのか分からないとは言わせないぞ」


さっと顔色を変えたルシウスの髪を掴み引き摺るように地下牢に連れいてく。
牢屋にルシウスを投げ入れ、扉の鍵を閉め防音魔法をかける。


「お前のせいでリドルが消滅した」

「っ、ナマエ様」

「これがどれだけのことだか分かっているんだろうな?リドルの日記はヴォルデモートの分霊箱なのは知っているだろう。その大切な分霊箱を壊したとなればお前はどんな仕置きを受けるだろうか」


座り込むルシウスの喉許に杖を突き付け言うと、想像したのか恐怖で身を硬くした。


「まあヴォルデモートからの仕置きはどうなるか僕は知らない。でも、忘れちゃあいけないのは僕の存在だよ。ねえルシウス、どんなに僕にとってリドルが大切な存在だったか君には分かるかな?」

「お、お許しください」

「クルーシオ!」


痛みにのた打ち回るルシウスを見下し、踏みつける。


「ルシウス、僕からの仕置きはまだ始まったばかりだよ」






拷問を始めてから暫くが経った。
思い切り鳩尾の辺りを蹴り上げるとルシウスは咽、胃液を吐き、そして言った。


「お言葉ですが、ナマエ様には、あの御方がいらっしゃるでは、ありません、か」

「黙れ!!」


冷たいだろう床に這い蹲るルシウスの背中を思い切り足で踏みつけた。


「あんなやつはリドルじゃない!!もう、もうリドルはこの世にはいないんだ!」


掻き毟りたくなるほどの胸が熱くなる。自分でも怒りで興奮しているのは分かっていたが、自分では止められなかった。ぼろぼろと止まらない涙がリドルとの出来事をひとつひとつ鮮明に思い出させて、更に僕を苦しくさせた。そんな僕を見てルシウスは顔を歪めていたけれど、それが苦しみだったのか僕への同情だったのか分からなかったけれど、それが酷く不快で、仕置きの終わりを告げて僕は姿くらましをした。




愛する君


それからナマエはホグワーツに姿を現すことは一度も無かった。


ハリーから秘密の部屋であったことを聴いたダンブルドアは血眼になってナマエを探したが、見つかることは無かった。


そしてその数年後ダンブルドアは死して、ハリーとの戦いに敗れたヴォルデモートの最後の言葉は「ナマエ」だったという。


それから闇の陣営の本拠地からナマエの死体が発見された。防腐の呪文がかけられていたのかとてもきれいな状態であったという。






――――――――――
補足。
スリザリンの生まれ変わりであったナマエはリドルの後輩で二人は恋仲でした。でも卒業後ヴォルデモートとなったリドルは、在学中よりも闇に陶酔していきナマエと仲違いしてしまいます。そしてヴォルデモートはナマエに魔法をかけて眠らせて、傍においておこうとしたけれど、赤ん坊であったハリーに倒され、そのときに効力が消滅し、眠りから覚めたナマエはダンブルドアの勧めからもう一度ホグワーツに通うことになります。
数年後、秘密の部屋が開かれたと知りまさかと思って自分も入ってみるとリドルに会うことができ、それから1年間リドルとの逢引を続けるが……というところで「さよならの時間」に繋がります。
そして「愛する君」ですが、マルフォイ邸から姿を消したナマエはどうにかもう一度リドルに会おうと様々な魔法を試しましたが失敗に終わり、最終的に自殺してリドルに会いに行こうとしました。力をある程度取り戻したヴォルデモートはナマエを血眼になって探し、ダンブルドアよりも早く見つけることに成功。もうすでに亡くなっていたけれどそれでもナマエを愛していたヴォルデモートは魔法をかけて大切に保管していた、というところです。

過去の彼を愛したナマエ、現在も愛し続けるヴォルデモート。そんな報われない二人をかけて満足です。(実は連載にしようかと思ってました)


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -