ホグワーツお馴染みの朝の朝食風景。談笑を楽しむ生徒や教師の頭上では梟が飛び交い、新聞を届けたり家族からの贈り物を届けに来る。
それはアブラクサスも例外ではなく、サラダを食していたときマルフォイ家の躾のよく為されている美しい毛艶の梟が舞い降りた。
「アブ何届いたの?」
「本だよナマエ」
アブラクサスは自分の横に座っていたナマエにふんわりと笑って答えた。向かい側に座っているオリオンは興味がなさそうに欠伸をひとつ。それをオリオンの隣に座っていたリドルは笑顔で「まだ眠いのかい?」なんて言って机の下で足を踏んだ。
平和な光景だった。
ナマエはアブラクサスが手にしている本のタイトルに目を走らせると、興奮した様子でアブラクサスの手を取った。
「アブっ」
「わかっているよ、貸してほしいんだろう?いいよ私もそのつもりだったからね」
「この本ずっと読みたいと思ってたんだ、ありがとう」
感極まってアブラクサスを抱きしめたナマエに周りの女生徒達は黄色い声をあげた。
その様子を見て機嫌が急降下したのは先ほどリドルに足を踏まれ痛がっていたオリオンだった。
「おいナマエ、アブラクサスから離れろ、禿げるぞ」
「オリオンそれはどういう意味だい」
挑発するように薄く笑いナマエの腰に腕を回し、引き寄せるアブラクサスにナマエは戸惑い、声をかけてみるが「大丈夫だから」と返されてしまった。が、大丈夫だと言われても何が大丈夫なのかがいまいちよく分からず、とりあえずされるがままにしておくことにした。
それからオリオンとアブラクサスとの言い合いが始まり、リドルは我関せずという顔をして朝食を取り続け、ナマエもアブラクサスに抱かれながらも朝食を取ることを再開した。
しかし女生徒達は頬染めてこちらをじっと見てきたり、こそこそとこちらを見ながら話してきたり、中には熱心になにかメモを取っているような子までいてナマエはとても居心地が悪くなった。
するとリドルはナマエの様子から察したのか、
「別にナマエの悪口を言っているわけじゃないと思うから気にしなくていいよ」
とベーコンをフォークで刺し、ナマエの口元へ持っていき食べさせる。
魅惑の彼
女の子達の黄色い声は悲鳴のレベルに上がった。