Your idea is foreseen.
次の時間は空き時間なのでたまには外に出てのんびりしようかと校庭に足を踏み出せば、春先の柔らかな太陽の光が自然の緑を照らしていた。
いい天気だと、ぐっと背筋を伸ばしていると声をかけられ、振り返るとかつては自分も付けていたネクタイと、重たいローブを着た青年がいた。


「ナマエ教授」

「どうしたんだい、ルシウス君」

「教授にお渡ししたいものが」


彼のプラチナブロンドの髪は太陽の光と受け、きらきらと輝いている。それは彼の着ている重苦しいローブの色とは対照的で、とても映えた。
ルシウスはそんなローブから取り出したのは一通の手紙だった。
何故自分宛の手紙をフクロウ便で届けずルシウスが届けるのかと考えたとき、すぐにその手紙の送り主が誰であるか思い当たった。


「まさか、」

「はい。あのお方からの物で、今朝父経由で私の元に届きました」

「うわっ」


自分の確信めいた推測が的中して、隠しもせずに嫌がって見せると、ルシウスは苦笑いしていた。


「ルシウス君」

「なんですか」

「燃やしてもいいかな」

「そんなことされてしまえば私が消されてしまいます」


私がすぐにでも手紙を燃やせるように杖を構えれば、ルシウスは慌てたように手紙を背に隠した。
自分の行いの所為で生徒が死んでしまうのが少しばかり心苦しい。
仕方なしに手紙を燃やさないことを約束し、ルシウスから手紙を受け取り、目を通す。


“ナマエへ。
最後に会ったのはいつであっただろうか。一刻も早くお前の姿を見たい。触れたい。自分のものにしたい。
だが、俺様がこんなにもお前のことを想っているのに、お前は俺様に振り向こうとする仕草さえ見せてはくれない。
そこで俺様はお前を諦めることにした。こんな不毛なことをしていても意味はないし、こんな感情は邪魔なだけであるからだ。
さらばだ、ナマエ・スリザリン。
T.M.R”


この手紙を読み終わったとき、あまりにも馬鹿らしくて笑いが込み上げてきた。
肩を震わせている私にルシウスが困惑しているようだったが、それに構わず部屋に戻ることを告げた。


「ナマエ教授っ、」

「大丈夫。たまには返事くらい書いてやろうと思っただけさ」


折角健康的に外で休憩をとろうとしていたのに。本当に邪魔ばかりしてくる鬱陶しい奴だ。
そう思っているのに、未だに笑いが収まらない私の口角はピクピクと引き攣っていた。



Your idea is foreseen.



“T.M.Rさん。お手紙は無事受け取りました。
貴方の気持ちはよく分かりました。私もそうしていただけますと助かります。
この気持ちは今日と言う日付に関係なく、本当の私の気持ちです。それではさようなら。
ナマエ。”


アブラクサスからナマエから手紙の返事が届いたと渡され、すぐさま手紙を開けば上記のように書かれていた。
可愛げのない奴だとは思っていたが、ここまで可愛げがないとは。
俺様の様子からどういった返事がきたのかを察したらしいアブラクサスが口を開いた。


「相手のほうが上手だったようですね、我が君」

―――――
@130401
エイプリルフールネタです。
ナマエは卿の手紙がエイプリルフールに便乗した嘘であることを見抜いていました。卿はナマエが少しでも動揺してくれればいいと考えたみたいですが、見事に失敗しましたね。残念。


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