彼らの日常
朝になり服を着替えて寝室から出て、顔を洗ってから簡単な朝食を作る。それからまだ寝ているもう一人のこの家の住人のダンテを起こしに行ってやる。それからダンテがテーブルにつくまでの間、テレビを点けて朝のニュースを見る。寝ぼけ眼のダンテが席に着いたら一緒に朝食をとる。それから皿を洗い、ダンテに「いってきます」を言う。ダンテからの「いってらっしゃい」をもらってから職場へ。

いつも通りに仕事をこなして夕方ごろに帰宅。ダンテはソファーにだらりとして寝ていた。どうやらこの様子では今日も仕事はなかったらしい。あったとしても受けてはいないだろう。
そんなダンテの様子に苦笑いをもらしてから、帰り道で買ってきた食材を冷蔵庫の中に入れた。
もう秋だというのに半裸で居眠りをしているダンテが風邪を引かないようにと寝室からブランケットを持ってきて、起こさないようにとそっと掛けてやり、さらさらの銀髪を撫でているとあっという間に夜になってしまった。慌てて夕食を作って、まだ寝ていたダンテを起こす。それから夕食をとりながら今日職場であった出来事や帰り道に黒猫がいたことをダンテに話して聞かせた。
ダンテがシャワーを浴びている間にお気に入りの曲を口ずさみながら食器をテーブルから下げて、洗う。布巾で食器についている水滴を拭き取っていると、風呂から上がったらしいダンテが俺の腰に腕をまわして甘えてくる。ダンテに構いながらも着実に食器を片していき、まだ甘えるダンテの額にキスをひとつ落としてシャワーを浴びにバスルームへ。

風呂から上がり、首からタオルをぶら下げてリビングへ戻るとダンテが腕を広げて待っていたので、側によって抱き締めてやる。胸に寄せられる形のよい頭の天辺にキスを落としてやれば、こちらに顔を向けて唇を尖らせて眼を閉じてキスを強請るので、それに応えてやると酷く幸せそうな顔をしたので愛しさあまってもう一回キスをしてやった。


「ナマエ…」


すっかりとろんと蕩けきった顔で名前を呼ぶダンテに、俺の眉尻も下がる。
ろくに仕事もしない半裸野郎だけど、俺の前では見せてくれる甘えたな姿がたまらなく愛おしい。
レディやバージルは「こんなろくでなしは止めておけ」と言うけれど、底なし沼へと踏み込んでしまったように、どんどんダンテにハマって溺れていくしか俺にはないのだ。

彼らの日常

こうして俺とダンテの一日は終わり、また朝が来て始まるのである。


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bkm
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