Welcome to Hogwarts, Regulus!
今年も多くの新入生が入る。毎度のことながら長々とした組み分けに辟易しているとたまにアルバスが退席するなとにっこりと笑い無言で制してきたので、浮きかけた腰はまたふかふかの椅子に沈むこととなった。
それからアルバスが新入生歓迎の言葉を言って、豪華な料理の数々が机を覆い隠した。俺はスラグホーンの隣の席で食事をとりながら、どんなやつが入ってきたのかと観察していると、スリザリン寮の一角がやけに賑わっていたのが目に付いた。名家のご子息だかご令嬢が入ってきたのかと、その中心にいる人物が誰であるか見てやろうと眼を凝らす。
――レギュラスか。
ブラック家といえば上流階級の名家。
確かオリオンがブラック家は王家の血を引いているだとか何とか言っていたな。ゴブレットに口を付けたまま動かった俺にスラグホーンはその視線の先にレギュラスがいたのに気がついたらしく饒舌に語り始めた。スラグホーンが饒舌なのはいつものことか。俺が学生だった頃からお喋りで、あの猫かぶりのリドルでさえ嫌な顔をしていたのを覚えている。


「今年度はブラック家の次男坊が入学だから、生徒達も浮かれているんだろう。兄はグリフィンドールに入ってしまったし、弟はどうなることかと上級生達も心配していたようだし。いやあ、これでブラック家の純血は途絶えることはないだろう!弟のレギュラス君は魔法薬は得意かな?今年度期待のルーキーは彼で決まりだな、はははっ」


めでたいことだと大口開けて体を揺らして笑うスラグホーンを一瞥して、レギュラスに視線を戻す。
可哀想なレギュラス君。きっと過度の期待にもとで育てられたことだろう。兄が家に従わなかったばかりに。
今だって同級生や上級生達に囲まれてお話しているはずなのに、ちっとも楽しそうじゃない。話題は当たり障りのないことばかりで、隙さえあればお近づきになって権力を手に入れようとしていることはわかりきっていることだろう。家では期待、学校ではオコボレを貰おうとしている奴らばかり。レギュラスくんの学生時代が楽しいものになることとなるのは難しいだろう。
そこまで考えたところで自分がいつの間にかレギュラスに過去の己を重ねてかけていたことに気付き、あまりの馬鹿馬鹿しさに笑ってしまった。
俺はレギュラスとは違う。別の人間なのだ。


「レギュラス・ブラック、ねえ…」


この後話し掛けてみようか。自己信念をもっているが故に暴走した兄をもった憐れなレギュラス君は俺を楽しませてくれるだろうか?
俺からの視線に気付くことなく生徒達と困ったように笑いながら話す姿に、にやりと笑みを浮かべる。そんな俺を、レギュラスの兄であるシリウスがグリフィンドールのテーブルからじっと見ていた。

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