怖い話 | ナノ

次は私ですね。



「枕踏み」



噂で聞いたのですが、寝る前に枕を踏むと怖い夢をみられるそうで、枕を踏む回数で怖さのレベルを変えられるらしいんです。最高レベルは10。
馬鹿らしいと当時は思ったものの、ある時を境に馬鹿らしいと鼻で笑うことが出来なくなりました。

その噂が流行った頃、私の部下でその方法を試したらしいのです。ああ、ラムダとアテナはその話を覚えているかもしれませんね。
その方法を試した男は、それはもう、ホラーものが好きで団内でも有名だったんですよ。
その夜も意気揚々と仲間に実行するということを知らせ、私にまで嬉しそうに伝えてきたのを今でも覚えています。

しかし、団内でも世間でもあまりいいとは言えないような結果ばかりが蔓延っていたので、多くの同僚達は彼にやめた方が良いと言って聞かせたそうなのですが聞く耳を持たなかった。なんでも、「俺はレベル10を体験するんだ」と張り切っていたらしいです。
遂には男は同室の仲間に止められそうになると、激情し、部屋から追い出したのです。
その話は当然上司にあたる私の耳にも入りました。仕方なしに、「その日だけは別の部屋に泊まらせて貰いなさい。彼も気が立っているようですので、明日私からも話してみます」と言って説得しました。

この時すでに、おかしいとは思ったのです。何故ここまでこの噂に拘るのか。ただ単に引くに引けなくなったのだろうか。いや、それないだろう。それなら私に止めた時に止めてしまえば良かったのだ。それなら私を言い訳に止めることが出来た筈。

悶々とかんがえましたが、明日彼と話すことを思い出して私もその晩眠りにつきました。




翌日。
彼が目覚めることはなく、事は内密に処理されました。同室だった友人はロケット団を辞め、この地から逃げるように去ったと聞きます。

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あとがき。
私は絶対にやりたくないです。ひとりかくれんぼとこれは。
レベル8や9をやった人の話はネットに出ているのですが10をやった方の話は不思議と載ってないんですよね。不気味だ…。
昔某紙面に載ってた遊びらしいです。