※学園パロディ
私の部活には怪談話があるんです。でも私が入部したてでまだその話を知らなかったときに体験したことを話します。
「ハイヒール」
音楽系の部活に所属している私は部活が終わったあと、友人と帰っているときに楽譜を部室においてきてしまったこと気付きました。
「ごめん、忘れ物しちゃったから先に帰ってて!」
そう言って慌てて私は学校に引き返したのです。もう門を守衛さんが閉めようとしていたのですが事情を説明し、中に入れてもらいました。
いつもは賑わっている校舎内は静まり返っていて、窓から差し込む夕焼けが廊下を赤く染めていました。それがなんだかとても不気味に感じた私は早く帰ろうと階段を駆け上がりました。
私達の部室は4階にあって、昇降口からは距離があります。それだからかいつもより遠い気がしましたが気にせずに部室に入った私は楽譜を探しました。
でもないんです。
置いたはずの場所に。
私はとても焦りました。明日は大会なので各自楽譜を持って帰って最終チェックとしてよく目を通しておくようにと言われていたのです。
その時。
バサリ
後ろを振り返ると教室の真ん中に私の楽譜が現れたのです。
まるで上から降ってきたように。
周りには物もなく、棚の上から落ちたということもあり得ないので私はぎょっとしました。
恐る恐る楽譜を手に取るとやっぱり私の楽譜で。
色んな思いが脳内を駆け巡ったのですが、もう考えるのはやめようと楽譜を手に廊下に出ようとしました。
カツン、カツン
遠くからハイヒールのような音が聞こえてきたのです。
――先生かな。
そう思った私は何事もなかったかのように部室を出ました。私は部室から出たことで安心しきってしまったのです。
カツン、カツン
来たときは駆け上がった階段をゆっくりと歩いて下っていると、さっきの足音が近くで聞こえてきました。
もし先生でも忘れ物をしたことを伝えて謝ればいいかなと思った私は大してにもせずそのままのスピードで歩きました。
カツン、カツン
2階に来たときには先ほどよりも大きな音で聞こえてきました。
辺りを見回しても誰もいません。
私は首を傾げましたが、そのまま昇降口に向かいました。
カツン、カツン
1階に着いたときはもう真後ろからその音が聞こえていました。
さすがに気にしないわけにもいかず、思い切って私は後ろを振り返りました。
誰もいません。
でも私が歩くたび聞こえるんです。
カツンカツンという音が。
私はその音を注意深く聞いてみることにしたのです。
カツンカツン
ペタペタ
なんだろう、この音。
――――そういえばこの音は私のすぐ後ろ。足元から聞こえてる。
思考が追いついた瞬間、私は脱兎のごとく走り出しました。
なんとか昇降口まで着いた時に私は振り返りました。
すると、そこには上半身だけ髪の長い女の人が……。
両手を床について上半身を持ち上げて少しずつこちらに近づいてきて、上半身を床に下ろすたびあの音が聞こえるんです。
そこで私は気付きました。
先ほどからの音はハイヒールの音じゃなくて、
骨が床に当たる音だということに。
次の日、私はこの話を話しました。すると3年生の先輩が教えてくれました。
その上半身だけの女性は代々私の入っている部活に言い伝えられている怪談話らしいんです。
「きっとそれを見たんだね、気にしないほうがいいよ」と先輩は笑っていたけれど、私には笑えるような余裕はありませんでした。
――――――――――
あとがき。
この話をもし知っている方がいらっしゃったらきっと私と同じ学校ですw
私の友人が話に出てくる部活に入っていて、この部活伝統の怪談話――うちの学校の七不思議について昔教えてくれたのを思い出して書き上げました。
うちの学校って怪談話が結構あったんですよ!機会があればその話も誰かで書けたらいいなと思います^^