怖い話 | ナノ


わたくし全く霊感と言う物を持ち合わせてはいません。しかしわたくし、怪談話や都市伝説などの怖い話が大好きで仕方ないのです。双子の弟のクダリは霊感と言う物を持っていて、様々な体験をしているのです。それがわたくしにとってはとても羨ましくて仕方ないのですが、クダリから言わせればそんなものない方がいい、とのことです。しかしオカルトファンとしてはそう言われても納得できない物なのですよ。
ですが、ある時不思議な体験をしました。所謂心霊体験と言う物ではないかとわたくしは思っているのですが、どうでしょうか?


「刃物」


暇さえあれば心霊サイトを回っているわたくし。その日も帰宅してから怪談話を読み漁っていたのです。
ふと水が飲みたくなったわたくしはパソコンの電源をそのままに台所に行きました。電気を点けてミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出そうとしたら急に包丁が流しに音を立てて落ちたのです。もちろんわたくし、包丁など触っておりません。何故だろうかとわたくしは首を傾げました。普段からわたくしくらいしか使わない包丁。クダリが使ったにしても、お互いにいつも同じ場所に包丁は仕舞っています。その場所は少なくとも流しに転がり落ちるようなことがない場所なのです。
おかしい。
それでもいくら考えたところで何故落ちたのかの答えは出ませんでした。

それからわたくしはコップに水を注ぎ、包丁を本来の位置に戻してから部屋に戻りました。

「ノボリー、お風呂空いたー」
「わかりました」

ひょっこり部屋を覗いたのは首にタオルを引っ掛けたクダリで、もうそんな時間か、と思いながらパソコンの電源を落として浴室に向かいました。




ぼんやりシャワーでシャンプーの泡をを洗い流しているとカランという音がしました。
何だろうかと出ていたお湯を止めてシャワーを置くという一連の動作を経て、顔にまとわり付くお湯をぬぐって浴室のタイルに眼をやると自分の足のすぐ傍に剃刀が落ちていたのです。
これにはぞっとしました。
先ほどの動作でわたくしは動いたのです。あと数センチずれていれば足を切っていたかもしれない。
剃刀だって洗面所にあるはずだ。
クダリが動かしたのかもしれないという可能性も捨てきれない。
実際にこういったことを目の当たりにするとどうしていいのかわからなくなったわたくしは気味が悪くなったので、早々に体を洗い浴室から出ることに致しました。


「クダリ、まだ起きていらっしゃいますか?」

とりあえずクダリにこの一件を話そうと思い、部屋に訪ねました。

「起きてるよ。どうしたのノボリ」
「……聞いてほしいことがあるのですが今よろしいでしょうか」
「いいよ」

それからわたくしはクダリに台所でのこと、浴室でのことを話しました。
するとクダリは一瞬苦い顔をした後、もう寝ようと提案してきたのです。
わたくしもそれに同意し、部屋に戻りました。

そして異変に気付いたのです。

パソコンの電源が点いているのです。
――お風呂に行く前に消したはずなのに。
そう思いながらもよく見ようと近づいてみると、画面にはよくわからない言葉が黒い背景に緑色の文字で映されていました。
何かのウィルスかと思ったのですが、ウィルス対策は万全です。なのに侵されたとなると相当強いウィルスということになりますし、全くわからない言葉がどんどん表示されていくのに恐怖を覚えたので、強制終了させようと思ったのです。
ですが電源が落ちないのです。いくらやっても駄目で、段々わたくしは焦りを感じてまいりました。
コンセントを抜き、自然に充電が切れて電源を落ちるのを待つしかありません。

それまでクダリの部屋で時間をつぶさせてもらおうと自室を出ようとした時。




ピピピピピ…



いきなりパソコンが鳴ったのです。
高い音と低い音が不協和音を奏でながら、わたくしのもとまで音を運び、届けた。

脳はやめろと叫んでいた。
けれど身体は言うことを聞かず、導かれるようにパソコンの前に立った。



そこには先ほどの緑色の文字たちは消え去り、赤い文字が一文字ずつ現れた。















 

















――――――――――
あとがき。

たいして怖くなくてすみません。
これは私の体験した話を基に作りました!(アハハ
確か3月から4月にかけての出来事だったのですが、ついったーでちょろっとこの話をしていました。
これがきっかけで「はろー、ゴースト!」を書こうと思ったのですが全然更新していないっていう…。
すみません……!

本当にお粗末様です。