先日の報告書も私が留守にしている際に貯まっていた書類も全て整理し終えたので、アポロさんに提出しに行ったところ、「お疲れ様でした。休暇を与えますので明日はゆっくり休んで下さい」と言い渡された。

アポロさんの部屋を後にした私は手を組んで、そのままぐっと大きく伸びをした。

「うーん」

明日は何をしてのんびり過ごそうかな。そうだ、コガネまで行って買い物でもしようかしら。もうすぐ冬だもの。

頭のなかで明日は何をして過ごそうかと考えながら自室に戻ったのが、昨日の出来事。


そして休日の今日。
コガネシティまでドンカラスに連れてきてもらい、ボールから出てきたウインディとデパートでポケモンフーズやら何やらを選んだ。
その時肩を叩かれ、振り返るとそこには紫色のマフラーを巻いた優男がいた。

「マツバ」
「こんにちはアズサちゃん」

足元のウインディは私の周りをぐるりと回ってマツバさんに向かい合い、わふっと小さく吠えて尻尾を振った。

「まだロケット団なんて続けてるの?」
「マツバには関係ないでしょ」
「確かにエンジュで君が騒ぎを起こさない限り、関係ないね」

柔らかな笑みを浮かべて平然と言ってのけるマツバに眉尻が下がる。

任務でしくじった当時の私はジュンサーから逃れるために行く宛もなく我武者羅に走った。でも体力も限界をむかえて、鈴音の小道の色鮮やかな枯れ葉達の上にダイブ。そんな私を保護したのがマツバだった。ロケット団の者だってわかってるのにジュンサーに引き渡さないジムリーダー。なんて面白い人なんだろうかと思ってあの日から親しくしている。
以前どうして私を助けたのかと聞いたら、マツバも日々の生活に退屈していて、何か刺激が欲しいなと思って私を匿ったらしい。
犯罪者をそれだけの理由で助けるだなんて変な人だと常々思っている。

「そうね、エンジュで仕事が入らないことを私も祈っているわ」
「君を相手にするには骨がいりそうだからね」
「バトルならいつでも受けますよ」
「相性ではアズサの方が大分有利じゃないか」
「でもマツバもジムリーダーなら、バトルの勝敗はそれだけではつかないことを知ってるでしょう」

それはそうだ、と控えめに笑うマツバに、それにと付け加える。

「相性ならマツバのゲンガーだって対策として気合い玉覚えてるじゃない」


(だから私が絶対的に有利って訳じゃないでしょう)(なんでバトルしたことないのに知ってるの?)(ロケット団としてジムリーダーのことを把握してないわけないでしょ)





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