ラムダさんと別れた後アジト内にある食堂に向かった私。転た寝している間に食事の時間はとうに過ぎていて、食堂には当番の奴等も誰もいなかった。仕方なしに余っていた白米でおにぎりを作ってパクついていると、誰かが食堂に入ってくる音がしたので振り向くとそこには真っ赤な艶やかで美しい髪を持つナイススタイルのアテナさんが立っていた。
「あ、いたいた!アズサ!」
「アテナさん、ただいま帰りました」
「おかえりなさい、遠征ご苦労様」
「ほんと疲れちゃいましたよ」
力なく笑って見せるとアテナさんも同じようにして笑った。
「あんたんところの班は出張ばっかりだからね」
私の班は出張が多い。団内断トツで。ちょっとした旅行みたいで楽しいが、期限内での任務完了を果たさなければならないので責任は重大である。
でも私は出張が好きだ。色んな地方に行けるし見たことのないポケモンや伝説を聞けるから。
……アポロさんに会えないのは寂しいけれど。
「ホウエンと言えばあの男とは会ったの?」
ダイゴさんのことですかと聞けば、そうそうと何故かうきうきとした様子のアテナさん。
「会いませんでしたよ。代わりにミクリとは会いましたが」
「なーんだ。残念」
そう言うわりに楽しそうな声色と表情のアテナさんにげんなりする。
ダイゴというワードを聞く度に眉間に皺を寄せる私の反応を楽しむアテナさんは人が悪いと思う。
「あんたも厄介なやつに好かれたもんよね」
けらけら笑うアテナさんは「でも」と付け加えると口角を上げた。効果音は、にやり。
「アズサにはアポロがいるものね」
「あ、アテナさんっ…」
顔に熱が集まる。きっと今の私はイッシュ地方にいるという顔が赤いドラゴンポケモンと同じようになっていることだろう。
「早く結婚式挙げてよね。花嫁のブーケを勝ち取るのはあたくしって決まってるんだから!」
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