今日は任務で資金調達のために班員全員私服でチャンピオンロードに来ている。ここはリーグに挑もうとしているエリートトレーナー達が沢山いるから、すぐにバトルマネーを集めることができる。でもリーグが近いからあまり下手な真似は出来ない。
もうすでに10万は貯まったかというところで会いたくもなかった奴に遭遇した。
「やあアズサちゃん」
「あなたはこんなところで何をしているんですか、ダイゴさん」
ああ、本当にこんなところで会うなんて大誤算だ!
近くにいた部下にダイゴさんに気付かれないように目配せをして、撤退を促す。
「僕は石を求めてね」
「そうですか」
思わず溜め息が出そうになる。どうしてこいつはこんなにも暇なのか、と。
「そう言うアズサちゃんは何をしにここへ?」
「私はバトルをしに、ですよ」
でないとこの子達も鈍ってしまいますからと自分のボールを撫でると、ダイゴさんは納得したように頷いた。
「確かに、バトルを怠っていると折角のセンスも鈍ってしまうからね」
そういうと目の前の石オタクは自分のボールを取り出し始めたので、嫌な予感。こんな時はさっさと退散するに限るので、「それでは」と言って立ち去ろうとする。
「逃がさないよアズサちゃん」
そして、金縛り。
なんとか視線だけダイゴさんの方に向けてみれば、そこにはメタグロス。
こればっかりは逃げられそうにない。
「わかりました、一戦だけですよ」
そう言えばすぐに金縛りは解かれ、体は自由になった。
──しかし困った。ここで本気を出すわけにはいかない。まだチャンピオンロードの中とは言え、リーグは目の前。こんなところで目立ってはロケット団の今後に差し障る。だからと言ってわざと負けるのも癪だ。
うだうだと考えているとボールからウインディが出てきて仕方ないだろ、という風に私を見遣り、メタグロスを見据えた。
そうだよね、私はロケット団幹部なんだから。
相性では私の方が圧倒的に有利。
ここからわざと負けるのも難しいけど……やるしかないよね、自分の技術向上のためだと思って。
「では私はこの子でいきます」
負け戦なんて気が進まないけどね。
ウインディも私の気持ちと同じだったのか、些か面倒くさそうに前に歩み出た。
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