ねぎ

馬鹿だ。こんな買うんじゃなかった…。
両手に大量のビニール袋を提げてよたよたと歩く私はさぞ無様で滑稽だろう。

でもさ、そんなじろじろ人のこと見なくても良いじゃないか!

だって知らなかったんだよ、近所のスーパーが安売りしてるなんて…。

折角だから買っちゃえ、なんて考えた自分の計画性のなさにがっくり肩を落とすのは仕方ないと思う。

あー、指千切れそう…。

「あの…」

後ろから声がしたもんだから反射的に振り返ろうとしたけど、我慢。
だって話し掛けられたの自分じゃなかったら恥ずかしいじゃないですかっ!
……どうせ、引っ越してきたばっかりでお友達もいないしーぃ。

「あのー」

「っ、はいぃい?!」

わ、私だったーーー!
肩がっちり掴まれたよ、ビックリしたよ!

「……なんですか?」

まだ心臓ばくばく言ってるんですけど。

「これ、落としましたよ」

「へっ、ありがとうございます」

反射的にお礼を言ってそれを受け取ろうとして私は固まった。


何故ならその人が渡してきたのは、
ネギだったから。





(ネギ落とすってどうやったんだ、私)




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