呪い禁止
向かい合わせになり座る私とノボリさん。
ノボリさんの話しによるとどうやら彼は人間じゃないそうで…所謂、幽霊らしい。
しかも実態化出来たりもするらしい。
私から言わせてみれば実態化出来る時点で幽霊と言い難い気がするけれど。
「それでノボリさんはいつからここに?」
「つい最近でございます、気が付いたらここにいました」
無表情がデフォルトらしいノボリさん。仕方ないとわかっていても、悪いけど恐いものは恐い。
ましてや幽霊だと言っているんだから尚更恐い。
「ノボリさん」
「何でしょうか?」
「申し訳ないんですけど、」
「出ていく気はありませんので」
先手を打たれた。なんでバレた!
しかもきっぱり言われちゃったよ。
「もしそのような事を仰るのでしたら呪いますから」
……ええぇええ!!!?
の、呪うって、あの呪い?
そうだよね、幽霊だもんね、うん。
「で、カツキ様はなんと言おうとなさったのですか?」
「いいいいえ、お気になさらず!」
両手を体の前でぶんぶん振って追及するなのジェスチャー。
今日から念願の一人暮らし始まる予定だったのに、こんな仕打ちってない。
「これから宜しくお願いします、カツキ様」
「こちらこそ…よろしくお願いします、ノボリさん」
こうしてノボリさんと私の不思議な生活が始まった。