奇妙な同棲開始

今年から大学生の私は地元を離れ、東京で一人暮らしを始める。

東京の一等地なのに異様に安い家賃が少し気になったけどお金に背は変えられないし、何しろ学校が近い。
早起きが苦手な私にはその特典はとても重要だった。

白い壁紙に天井。床は焦げ茶のフローリング。

もうすでに私の荷物は運び込まれていて、今日からここで生活するのかとわくわくする気持ちを抱きながら実家の両親に電話をした。

両親からはちゃんと勉強しろと釘を刺されて、わかったわかったと流しつつ通話をきった。
それからベッドに倒れこんで、ぐーっと背伸び。

明日から新生活だ。
この大都会で一人で生きていかなくちゃいけない。

そう思うと自然と口角が上がった。
寂しいとかいう負の想いは沸いてこない。あるのは好奇心だけだ。

好奇心で身を滅ぼさないように気をつけなくっちゃ。


早速明日、

「お隣さんに挨拶しなくちゃ」

「それでしたら差し入れは赤ワインがいいかと思いますよ」

「そうですか、でも私未成年なんでお酒買えないんですよ」

…………って、私誰と会話してんだ。

慌てて上体を起こす。

「初めまして、わたくしノボリと申します」

「は、はじめましてカツキです」

どうやら先に住人がいたみたいです。
一人暮らしじゃないみたいです。


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