アップテンポな速さで | ナノ


疲労困憊




「あー、疲れた」

今日から仮入部だった。

仮入部で何するかと言えば、俺達が楽器について教えてから各楽器をちょっと触らせて簡単なセッションをできるようにしてあげる程度の事だ。

その程度で何故疲れたのか。
答えは簡単、何回も演奏を頼まれたからだ。

こんな時に限ってグリーン達も出払っていて、バンドメンバーが揃っているのが俺達しかいなかった。そうなると演奏するのは必然的に俺達で決まる。
予定になかったミニミニライブを可愛い新入生達にせがまれ、断ることが出来るかと言われたら否だ。生憎うちのバンドにはそんな勇者はいない。
いるのはお人好しのみ。

そんな俺達の結末はグリーンとレッドが帰ってくるまでライブを繰り返し行い、二人が帰ってきた瞬間俺とゲンとマツバは干涸らびて、おしまい。
まあ帰りにお詫びだと言ってファミレスで奢って貰ったからいいんだけどさ!

それでハードな放課後を済ませて家に帰ってきた俺は玄関に倒れ込んで冒頭の台詞を吐いたというわけ。

暫くこうしていたいと思いフローリングの床と仲良し子よししていたらポケットに入れていた携帯のバイヴが震え着信を告げる。
体勢は変えずにそのまま手をポケットに突っ込み、携帯を取り出し画面を確認。どうやら電話らしい。ミナキだ。

「もしもーし」

自分でもいつもより元気無ぇ声だなと思ったが仕方ない。本当に疲れてんだ。

「うわっ、セイどうしたんたよその声」

ミナキも同じ事を思ったらしく、若干引いたような声が受話器越しから聞こえる。

「疲れてんですぅー。……で、ミナキこそどうしたんだよ」

「さっきからマツバに電話をしているんだが、一向に出ないんだよ」

それを聞いて笑った。多分マツバ俺と同じ状態なんだろうな。

「何笑ってんだ?」

「いやぁ、想像付くなーって……あと10分くらいしてもう一度掛けたら繋がるはずだ。さっきまで一緒にいたから行き倒れてるとかは無いはずだから」

「ならいいんだが」

それじゃあな、と通話を切ってポケットに仕舞い直す。
こんなところでいつまでも寝てても仕方ねぇよな。

それにしても気合いを入れてから起きあがる俺はもう歳だろうか。










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