(ヒビキ視点)入学してから数日経った今日。新しい友人も出来て、順調な高校生活を始めた。
「それでは次は軽音楽部です」
壇上には司会を務める知らない先輩。
今僕ら新入生の為に部活や委員会オリエンテーションが執り行われていた。
運動部や文化部。部活動に力を入れているこの学校には沢山の部活がある。だから、まあ部活紹介もかなり長いわけで……
「なぁシルバー」
「なんだ」
「これいつ終わんの」
シルバーは手元のしおりに視線を落とし、「次の部活で終わりだ」と言った。
──よし、今日の日程はこのオリエンテーションだけだからもうすぐ帰れる。
──シルバー連れて帰りにどっか寄るか。
寄り道のルートに想いを馳せる俺の思考はすぐに打ち切られることになる。
ジャーン体育館に爆音が響いた。
俺はあまりの音の大きさに舌打ちをしたくなる衝動に駆られたが、我慢。隣に座るシルバーも眉間に皺を寄せ苛ついてる様子だった。
「あー、音量間違えちゃった。みんなごめんね」
壇上にはいつの間にか先輩が3人。それからドラムやらアンプやらの器材がセットされていた。
「えっと、軽音楽部です。長ったらしい話をしても新入生のみんなはつまんないと思うんで、俺達からの入学祝いと紹介ってことで一曲弾きます」
スタンドマイクの前に立ち、ギターを担いだ先輩は話し終えると金髪で紫色のバンダナをしているドラムの先輩に目配せをした。
スティックが三回リズムを刻む。
カッカッカッ
ギターとドラムとベース。
全ての音が合わさって曲になる。
俺は最初挨拶をしたギターの先輩から目が離せなくなっていた。それくらい魅入ってた。
ギターを弾きながら楽しそうに歌う先輩はきらきらと輝いていて、俺はこんな先輩になりたいと思った。
あっという間に終わってしまった先輩達の演奏。
「ありがとうございました」
にかっと舞台上で笑った先輩を見ながら俺は口を開いた。
「シルバー」
「今度はなんだ」
「部活何入るか決めた」
──俺、軽音部入るわ。
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