部屋の前でカミツレと別れてから自室へ入る。部屋にはもうすでに布団が敷かれていて、テレビを点けてからごろりと寝転び体を布団に預けた。
ノボリもクダリもまだ帰ってきていない部屋にはテレビから流れてくる笑い声とナレーションだけが響く。
首に掛けっぱなしになっている少し濡れたタオルが纏わりつき鬱陶しく感じたけど、外すのも面倒くさい。
自分で思ってた以上に俺自身疲れていたらしい。身体を横たえている俺に睡魔が襲ってくる。
クダリ達、早く帰って来ねぇかな…。
自然と出る欠伸に涙が目尻に浮かび、寝返りをうつとぽろりと零れた。
「んんっ…」
うっすら目を開ける。
どうやらあのまま寝てしまったらしい。
豆電球だけが点けられた室内にはクダリとノボリの寝息。
上体を起こすと寝てる間に掛けられたらしい掛け布団がずり落ちた。
オレンジの光に包まれてはいるものの薄暗い部屋で俺は側でくちゃくちゃに丸まっているタオルを掴んで端に退ける。
その時、俺の携帯電話が着信を告げるランプが点滅しているのに気付き、慌てて手に取り画面を確認。
そこにはゲンの文字。
しかもメールではなく電話の方で、すやすや寝ている2人がいる部屋で電話に出る気もなくてそっと部屋を出た。
「どうしたんだよゲン」
「よかった、まだ起きてたんだね」
電話越しで控えめに笑うゲンに溜め息を吐きたくなる。
今さっきまで寝てたと返そうかと思ったが面倒だと思い、先を促す。
「で、どうしたんだ?」
「10分後に中庭」
は?と言おうとした俺よりも早くゲンは通話を切ったらしく、耳障りな電子音が一定のテンポで鳴っていた。
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