アップテンポな速さで | ナノ


ジュース一本と引き換えに



あの後ノボリは見事にパズルを完成させました、パチパチパチ。

1日目の今日は旅館までの移動だけで、特にもうやることはないらしい。

暇になった俺は夕食の時間までまだ時間があったから、自販機にジュースを買いに行くことにした。

が、……まぁ捕まった。
誰にかっていうと男女両方にだ。

「セイ君、次私達と一緒に撮って!」

「ああいいぜ」

「セイー、俺達もだからな」

「わぁーってるって」

人気者なのは嬉しい。
…嬉しいんだけどさ、ジュース買いたいんだけど俺。全然前進んでる気ぃしないんだけど俺!

おろおろし出した俺に誰も気付かないらしく無遠慮に詰め寄る。

その時ズボンのポケットに仕舞っていた携帯が震える。
助かったと思い「電話だからまた後でな」と言って小規模な人混みを抜けると後ろからブーイングが幽かに聞こえた。




「ほんと助かった!ありがとな」

あまり人が通らない廊下まで出た後。
通話ボタンを押して間髪入れずにこう言った。

「へっ?‥…どう、いたしまして‥?」

戸惑い気味に返すこの声はトウヤだな。

「いやな、今ちょっと色々あってよ。ナイスタイミングだったんだよ」

「そうなんですか、なんかよくわからないですけどセイ先輩の役に立てたみたいで嬉しいです」

………………なにこの子、可愛いんですけど。

「トウヤ、」

「どうしました?」

「そっち戻ったらジュース奢ってあげるからさ」

「はい」

「ぎゅってさせて?」

トウヤが慌てている様子が鮮明に脳裏に映し出されて俺は笑った。










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