アップテンポな速さで | ナノ


コミュニケーション


本日は快晴。
絶好の行楽日和になりそうな陽気!

空港集合でそのまま飛行機に揺られた後バスに乗り込んだ。

マイクを通してバスガイドさんが喋っているのが聞こえるけど、集合時間が早かったせいもあって寝てる奴らが大半。
かく言う俺もバスの揺れとガイドさんの一定の音程、テンポに眠りに誘われてうとうとしてっけど意地で起きてる。いや別に寝ても問題ないけど、なんか今寝たらバスに負ける気がしてヤだ。
が、眠いもんは眠い。
隣の席に座ってるクダリなんてとっくに寝てやがる。
クダリは朝の時点でテンション上げすぎなんだよ。

「セイくん」

とんとん。
後ろから肩を叩かれ振り返ると女子がポッキーを一本持ち差し出してきてた。

「よかったらどうぞ」

「ありがとな」

ポッキーを受け取り、一言伝えると頬をうっすら赤らめはにかんでた。
えっ、なにこの反応、かわいい。

修学旅行とかバス内のお菓子のやり取りって結構あると思うんだけど、こういうのって普段話さない奴と話せたりするきっかけ出来るよな、うんうん。
……俺が何を言いたいかっていうと、すっげぇ申し訳ないんだけど名前わかんねーんだよ。罪悪感に苛まれてる中、問題の女子はまた箱からポッキーを出し、もう一本俺に勧めてきた。
う、嬉しいんだけどね?ポッキー欲しいけどね?
今更名前聞くのも失礼じゃん。いやいやいや、名前知らない方がよっぽど失礼だよな。後でこっそりカミツレにメールして聞くか。…うんそうしよう。

自分の中で結論が出たところで有り難く2本目のポッキーを貰おうと手を伸ばした時、

「ふぁっ」

腰の辺りに何かが巻き付いてきた。
思わず素っ頓狂な声を上げてしまい、羞恥から顔に熱が集まる。当然ながら目の前の女子は驚きで目を大きく開いていて、俺はますます恥ずかしくなった。

バッと後ろを向いていた身体を元に戻してみれば、自分の腰にしがみつくクダリが映る。

「ね、寝てたんじゃなかったのかよ!」

若干声を上擦らせながらも、ギッとクダリを睨みつける。
すると何故かしがみついてきた本人まで目を丸くしてるもんだから、俺は靴を脱いで座席の上に足を乗せて腕を置き顔を埋めて、不貞寝を決め込むことにした。

ああ恥ずかしい!








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