〜今〜

久しぶり。

最近来てなかったけど、元気だった?

とりあえず、ここに大好きな花、置いとくね。

・・・あの時のこと。

いまだにまだ思い出す。

本当に、ごめんね。


〜三年前〜


「大樹ー!」

私は、彼氏の大樹の名前を呼んだ。

その瞬間、振り向いて見せてくれる、大樹の笑顔が好き。

「美利、どうかした?」

「あのね・・・、今日放課後デートしよ!」

幸せな毎日。

友達がいて、彼氏がいて。

何事もなく。

穏やかで。

・・・まあ、少しだけ刺激がほしい気もするけど。

だけど、こんな日が一番好き。



・・・でも、こんな日は終わった。

私のせいで。


「え・・・?」

これって、現実・・・なのだろうか。

なんで、なんで?

なんで、大樹と女の人が手をつないで歩いてるの・・・?

大樹には姉妹がいないし、見覚えのない女性・・・。

だんだん、景色が歪んでいく。

もう、大樹の姿も見えない。

「うそ・・・」

嫌だよ、大樹が私のこと嫌いでも私は好きだよ。

別れたくない。

思わず、そこから駆け出した。

なにも見たくない。


思えば、そう・・・私は君のこと信じ切れてなかった。


とりあえず、今までどおり、今までどおりしておこう。

私は、大樹との関係は続けてたい。

「美利!おはよう」

「おは・・・よう」

「今日のさー・・・」

でも、やっぱり大樹の声を聞くと昨日のことを思い出してしまう。

チラッと大樹のことを見てみる。

いつもと何も変わらない笑顔。

そんな表情にイラッとしてしまった。

「あれ?どうかした?美利?」

その笑顔に、何かが崩れ落ちたような気がした。

「・・・大樹」

「どうかした?」

「昨日、なんで女の人と手をつないで歩いてたの?」

「っ・・・!」

やっぱり、そうなんだ。

そういう、やましいことがあるんだ。

「なんで・・・?」

そういうと、なんとも言えない表情をして、顔をそむける。

「・・・もう、いいよ」

そう言って、背を向けて走る。

今日は、もう帰る。

「ちょっ・・・!おい、待てよ!」

一応、50メートル走は早い。

逃げ切ってしまえば・・・。

そして、事件は起こった。

交差点、渡り終わった私の背にキキーッとブレーキ音がして、思わず振り返る。



そこにあったのは、ただの肉と化した君と大量の血と呆然とする運転手の顔だけだった。



〜今〜

あれから、いろんなことが分かった。

大樹は、脅されていた。

どうも、デートしなければ私に乱暴するということらしかった。

それを知った時、後悔した。

死のうとも思った。

でも、ある人の言葉で立ち直れたんだ。

そんなこと、誰も望んでないって言葉で。

それを言ってくれたのが、今の彼氏。

私・・・、これからいろんなことあると思う。

だけど、絶対に大樹のことは忘れない。

・・・じゃあね、また来るから。

次来るときは結婚の報告、できるといいな。


よくある恋愛の話かもしれない。

でも、私の大切な話。

〜終わり〜
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