「咲月ー花奈美ー」
「椎名ー河原ー」
休み時間、私と親友の花奈美の席に人が集まってくる。
私は、椎名咲月(しいな さつき)。
中学3年生です。
今日は、中間テストが全部返ってきて……
まあ、点数はあとで、ね。
「咲月合計何点?」
花奈美が聞いてくる。
「471点♪」
私が言うと、花奈美がぷっと口を膨らませる。
「もー!また!あたしは458……」
「やった!勝った♪」
私が言うと、男子達ががやがや騒いで私と花奈美に絡んできた。
「椎名は……460点でー、河原はー……450?」
青山が予想する。
いつも私たちに絡んでくる、男子3人組。
私の幼馴染の川崎蒼介(かわさき そうすけ)と、
花奈美の幼馴染、青山陸斗(あおやま りくと)、
あとは普通のクラスメイトの東川昴(ひがしかわ すばる)。
「両方ブブー!」
花奈美がニッコリ笑う。
「えー、咲月は……480?」
蒼介が私を見る。
「あー下、もっと下ー」
「えーまじで?」
「マジでー」
480って、たしか中2の二学期にとって、それからは取ってない。
「椎名は、、、476!河原はー、、、459!」
次は東川だ。
「おー!東川おっしーい」
私が言うと、
花奈美が青山を冷たい目で見る。
「陸斗、人の点数当てるの苦手だよねー」
「はっ、ウザー。じゃあ花奈美はー462−」
あはは、この二人はいつ見ても面白いんだよねー。
「まじで?おしい?」
東川はうーんと考え込んでる。
「ぶー、残念!」
「咲月はー473−」
また蒼介が私の点数をマジで当てにくる。
「ドンマーイ、惜しいけど違うー」
「えー、当たんねー」
「ドンマイ!」
花奈美と私で蒼介をいじるのが、日常。
「458ー」
また青山が花奈美の点数を当ててる。
「あーおっしーね〜」
「459!」
すかさず東川が言う。
「いえす!あったり〜♪陸斗ドンマーイ♪」
花奈美が笑いながら言う。
で、青山をいじるのも、わたしと花奈美の日常。
「おもしろーい♪じゃあ蒼介私の点数当ててみてよ☆」
私が言うと、蒼介が「えーっ」と言う。
「よんひゃくーななじゅうーに!」
ゆっくり言うから、理解が遅れた。
「ノー!惜しいけど☆」
「マージで!えーっとー471!今度こそ!」
「せーかい☆」
私がそういって、蒼介が「イェーイ」と飛び跳ねる。
子どもみたい、と苦笑する。
休み時間終了のチャイムで、5人はばらばらの席へ。
こんな時間が、私の大切な日常。


机を見て驚いた。
〔放課後、中庭集合!〕
蒼介の字。
机の中にそんな手紙が入ってあったから。
いつの間に?
さっきかなぁ……?

まあ、いっか♪


「ふわぁ〜〜〜眠い、、、」
5時間目。
お昼ご飯を終えた5時間目は、お昼寝タイムーなんちゃって……
数学は寝られないよぉ〜
それに、中3だから内申も気にしてすっかり疲れ気味。
はあ……
眠い。
最高級に、眠い。
5月の温かい風がふわっと吹き込んできて……
って、ダメダメ!
起きなきゃ!
私、起きろー起きろー!
と、思ったら、授業終了。
はぁ……

で、このまま6時間目も終わって、HRも終了。
あ、中庭行かなきゃいけないんだっけ!

急げ〜☆

「遅ーい!遅刻!」
花奈美がわっと中庭の桜の木から顔を出す。
「うわあっ、な、何人で集まるのー?」
慌てて3歩下がってしまう。
「5人じゃね?いつものー」
いつもの、ってことは、蒼介と青山、東川、花奈美と私ってところ。
んー、何を話すんだろう?

「あーごめんごめん」
蒼介が走ってくる。
「ん?3人?」
私が蒼介に問うと、
「ん?そーだけど?」
「珍しー☆なになにー?!」
花奈美は興味津々。
「んー、陸斗のことなんだけどー」
蒼介が言いにくそうに口ごもる。
「男なら男らしくすぱっと言ってよー」
私がパシッと切りこむと、
「おまえが一番男らしいけど」
と蒼介がつぶやく。
「いいんだって、つ・づ・き!」
花奈美もいらついてきてる。
「あー、陸斗が、えーと、えー……河原が好きなんだってさ」
へー!
興味津々だった花奈美がシューっと小さくなる。
「面白い内容!ヤバい!おもしろい!」
「ちょっ、咲月ぃっ」
花奈美が私をバシバシ叩く。
「い、痛いってば!」
「あ、ごめ〜ん。でもさぁ〜川崎も人の事言えなくない?
ほらほらっ、川崎だって咲月のこと好きなんじゃ……」
花奈美!?
「花奈美ってば、何バカなこと言ってんの!?」
慌てて花奈美を突き飛ばす形になってしまう。
「えー?何言ってんのー?本当のことだけどー?」
えっ!????
な、何それっ……
「ちょっ、河原!」
蒼介も相当焦っている。
「えー?なになに、あたし何か悪いことしたっけ……」
「しました!」
「してるし!」
私と蒼介が叫ぶ。
「えぇー、じゃあ、お邪魔しましたぁ〜♪」
「えっ!?」
花奈美が走って校舎に入っていく。
え!?
ちょっ!
「ま、待ってよ花奈美!」
「おいっ、河原っ!」
えええええええ!
まさかの、蒼介と二人っきり?!
嫌だ、嫌だよ、この雰囲気でこんなところにいられない!
「あ、、じゃっ」
慌てて校舎に飛び込む。
はぁ、はぁ。
息が切れるまで走りきる。
ビックリした……
まさか、こんなことになるなんて……


〜帰宅〜

結局一人で帰ってきて、自室でボーっとしてる。
はぁ、ホントびっくりした……

♪♪
ん?
メールだ……

〔咲月 へ
さっき河原が言った事、今度直接言うつもりだったんだけど……
ああ言われちゃったからもう言おうと思って。

咲月が好きです。

確か小さい時もこんな事言ったような気もするけど……
じゃあまた明日。                              〕

え。
30秒くらい、動けなかった。
本気なんだ?
蒼介は。
でも、私もそうだったよね、いつからか。

バサバサバサ。
ん?
何かが落ちた音。
なんだろ……?
机の裏に回ると、ピンク色の袋が落ちてた。
中身がバラバラになって、出てきてる。
「あーぁ」
つぶやいてみてみると、それは大量の手紙類。
幼い字で、たくさんの宛名が綴られてる。
幼いって、幸せだな。
無邪気で、何も考えなくて、毎日を過ごせてる感じ。

あ。
蒼介からの手紙だ。
古い……
この時から、信じあってたんだね、私たち。
覚えてなかったけど。

もう、時を越えた付き合いだもん。
ずっと、一緒だよね?
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