<意識しきって馬鹿みたい>
淡い気持ちは空の彼方へ
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雨美
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好き。
--end--
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こんなメールが行き成り幼馴染から送られてきたときは何事かと思わずスマホの画面に向かって「はぁぁ?」と呟いてしまった。
いやいや…突っ込みどころが多すぎておいおい…まずあいつは雨美で間違いない…よな…
なんせ、俺はさっき学校で「あんたなんか嫌い。ほんとうざい。」と冷たく言われてきたばかりなのだ。
変にクールで現実者なあいつは俺にこんなことをいってくるやつとは違う…と思っていた。15年生きてきて。あいつと14年付き合ってきて。
というか、俺これになんて返信したらいいのか…もう、何だかんだで10分くらいたってる気がする。こんなに時間て過ぎるの早かったけ。なんて思いながら恐る恐る返信をしようと画面を触る。
実際のところ俺も雨美を好きだし、別に問題はないのだが。そうじゃなくて。なんていうか。
「 これでいいのか、ってことだよなー 」
もやもやを抱えながらヘベットへダイブした。ゴロゴロしながら、「俺は何が気に入らないんだろうか」と考える。
第一にきっと、あいつの態度が問題だと思った、何時からだったか急に話さないし、冷たいし。視線が痛々しかった。これで、俺は「俺も好きだよ」といったところで素で「あ、うん」なんて返事が返ってきて逆に振られてないのに俺が傷つきそうな…
でも、そしたら、本人に直接いうしかないわけで。あいにく俺はチキンだ。かなり。そんなこと言ってる場合でないとはわかってるのだが
盛大に迷った一日だった
*+*
結局あのまま寝てしまったらしい俺は朝から風呂に入ったが、何だかすっきしなかった。
ずっと、なんかが胸の奥に引っかかってる感じで。
一応メモをいつもより少しきれいな字で書いてきた。
「返事がしたい。放課後、まってて」これを手に握り下を向いて黙々と歩く。いつもより少し早く。
いつもより早い通学路や校内にはほとんど人がいない。
早すぎたか。と微妙な心配をしながら昇降口にたどり着く。
「 ふぅ。。。 」
ゆっくり息を吸いメモをそれとなく入れようとしたら、だ。
「 …?何やってんの。人の下駄箱の前で。 」
怪訝そうな顔で、見ていたのは当の本人。
「 雨美・・・ 」
バッとメモをかくし「なんでもねぇよ」と曖昧に笑いそっぽを向く。我ながらかっこ悪いし間抜けだと思った。
「 ああそう… 」
いつものように無関心に言葉を受け流す、雨美。
なんか、俺が告られたのに俺ばっかり意識してる気がすんだけど…
スーッと何の反応も示さないで俺の横を通り過ぎるあいつは、
耳まで真っ赤だった。
意識してもらってるんだな。
自分だけが、必死になっているわけじゃないことを初めて知った。あいつは感情表現がうまくないだけで、必死だったんだと。
証拠に顔には出ないが髪に見え隠れする耳が赤く染まっていた。
ああもう。
なんてずるいやつだろう。きっと、計算なんてしてないのに、俺はもう、離れなれなくなってる。意識しまくって心臓バックバックなってる。
彼女いない歴と年齢が比例するわけじゃないが、高校一年生男子にそれは卑怯だろう。
くしゃっ
手に握っていたメモをぐちゃっと丸め、
「 おい。なぁ、昨日のメールなんだけど。 」
―――――――――――恥ずかしながら伝える返事はきっと君に届くと思う。
小さな思いは晴れ渡る空に吸い込まれた。
fin*