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先に逝った貴方へ  


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旦那と過ごした10年という月日は
長いようで短い気がする。


あれだけ『永遠』を定義に芸術を語って
腐るほど人形も作ったってのに

まるで最後はオイラの芸術論に賛成するかのようにあっさりと逝った。
本当にあっけなく、本当に一瞬で


旦那の最後の姿を、オイラは知らない
『見タイカ?』とゼツに聞かれたとしたら
オイラは素直に首を縦には振れない。


見たくない。と
思うだろう



だって、恐い。
旦那がもう居ないとか死んだ、とか
頭がついていかないのだ


もともと犯罪組織であるこの場所で
誰かの死を嘆くことも弔うこともきっと場違いの事なのだろう。



だけど


オイラは大人になれなかった
そこまで非情にはなれなかった


周りは記憶を容易く過去に押しやって前に進むけど
オイラは進めない、進みたくない



一瞬で散りゆくものは美しい
だけど旦那は別物だ


本音を言えば
旦那、あんたの作る人形、嫌いじゃなかったぜ


オイラがもう少し大人になって
自分の芸術論に沿って昇華出来たら

あんたのもとへ逝くよ



先に逝った貴方へ


あんたの分まで
生きてみせる
最後まで生きて
自分の満足のいく人生だったなら
また逢えたとき
抱き締めてくれますか







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