Short | ナノ


キーキーと甲高い声は耳に響いて鬱陶しい。もう少し静かには出来ないのだろうか。僕は1番後ろの窓際の席。恭弥とは隣同士だ。時折彼はチラと僕を見る。

嗚呼・・・煩い休み時間だ。

僕は堂々と大きな溜息を吐いた。女子生徒が物凄い勢いでこちらへ向かって来る。僕は机の横に置いてある紙袋二つに目を落とした。もう毎年のことだ。
そう、今日は2/14。所謂バレンタインデーと呼ばれるものだ。日本では女性が男性へとチョコレートをプレゼントする習慣があるらしい。
チョコレートが好きな僕にとって一見嬉しそうに見えるこのイベント。しかしこれ程迷惑な話は無い。毎休み時間に、先輩、後輩、違うクラスの人間までもが押しかけて来るのだ。しかも群れを為すせいか幼なじみの恭弥が苛々してしまう。

嗚呼、心配だ。


「・・・はぁ。」
「凄いね、君の人気は。」
「まぁ、良い迷惑ですよ。」
「あれ、君ってチョコレート好きじゃなかったっけ。」
「好きですけど・・・はぁ。」


久々に話した気がする(前に話したのは2時間目の古典だ)。今の疲れた状況にはとても良い、癒しの時間である。
長年、片思いの僕にとっては彼と話すだけで心が暖まる気がするのだ。


「君が愛想よく笑うから、変なのが寄って来るんだよ。」
「そうなんですかねぇ・・・。」
「でも、君が笑顔を貼っ付けてるのも知ってる。」


少し驚いた。確かに最近は作り笑顔しかしていない。
人間関係の面倒に首を突っ込まないためには、八方美人がある意味楽だからだ。


「確かにそうですが・・・君の前では素の僕のつもりです。」
「・・・ふふっ、」


少しムキになって言うと笑われてしまった。


「君にも子供っぽいところがあったんだね。」
「そりゃ、餓鬼ですから。」
「そんなところも僕は好きだけど・・・はっ!」


彼は途端に頬を林檎のように赤く染めて顔を両手で覆ってしまった。


「きょ、や・・・それって」
「み見るなっ!」
「六道、雲雀煩いぞ。授業中だ集中しろ。」


教師の声に前を向く。

もしかすると・・・いや、まさか。

そんな風に考えながら必死になってポーカーフェイスを装い、授業を真面目に受けている振りをした。

そして僕は一大決心をする。ノートの切れっ端にーー昼休み、屋上ーーとだけ書いて隣へ回した。


ーendー

高校パロ・・・なのか・・・?
とりあえず管理人から皆様へハッピーバレンタイン!

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