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※管理人の趣味により名前は出ませんが、あの子によく似た猫又が登場します(わかった人マジで友達になりませんか!?)




六道はその日、部屋には現れなかった。


「目的は何だ・・・。」


確か自分だと言っていたはずだ・・・。


「雲雀様・・・夕食です。」


色々と考えてみても、雲雀は六道と前に出会ったなどという記憶は見当たらない。よって、目的になるという意味がわからない。


「・・・ふぅ。」
「?どうかなさいましたか?」
「・・・。」


無言で食事に手を付ける。豪華過ぎず、質素過ぎずな料理は彼好みだったらしい。


「美味しい・・・君が作ったのかい?」
「は、はい、雲雀様。」


軽く頬を染めた凪は"失礼します"と早々に出て行ってしまった。雲雀は黙々と食事に集中し、考えることを放棄した。


「何者だい!?」


六道かと思ったが気配が違う。


「・・・。」
「そこにいるのは分かってる。出て来なよ。」


中庭の桜に話かける。すると、ごそごそ音がして黒ずくめで長身の少年が現れた。顔はよく見えないが、武器を持っている気配は無い。


「何者なんだい?」
「・・・僕にはお前に答えてやる義理は無い。」


少年にしてはずしりとした低音。しかし聞き取りづらくはない。


「ふぅん・・・じゃあ、此処には何故来たの?」
「お前は・・・雲雀か?」
「・・・!!」


彼は名前を知っていた。


「フッ・・・そのようだな。そして、何故名前を知っているかわからないという顔だ。」
「・・・。」
「・・・六道が言っていた。」


目にも止まらぬ速さで少年は雲雀に近づいた。彼は顔を雲雀に近づけ舐めるように見た。品定めをするような視線だ。


「お前は・・・・・・僕好みではない。」
「何者、」


雲雀は先程からの疑問を口にした。


「答えてやる義理は無いが・・・六道に貸しを作っておくのも悪くない。」


雲雀がゴクリと唾を飲んだ。


「僕は六道と同類だ。」
「?」
「チッ・・・まだわからんのか。僕は猫又と人間の混血、所謂半妖だ。因みに六道は白狐だ。」


正体が明かされた瞬間、少年の回りが明るくなり、姿がはっきり見えるようになる。
少年は人間では無いような美しい顔立ちだった。いや、人間でないというよりかは、エゲレス(英国)人のような顔だ。少し長めの黒髪に黒い目は日本人のような不思議な者だった。


「六道の・・・目的は・・・なんなの?」
「・・・お前、じゃないのか?僕は知らん。」


答えた少年は冷笑したあと黒猫に姿を変え、雲雀の隣に座った。


「黒猫・・・ねぇ。」


黒猫は上品に一つ鳴いて、目を細めた。雲雀が触っても動かない。彼は黒猫を抱き上げると、中庭への襖を閉め、既にひかれた布団に横になって目を閉じた。

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雲雀が目を覚ますと、そこに黒い頭があって驚いた。


「・・・ちょっと、」
「ん」


昨夜の黒猫はちゃっかり少年に戻っていた。しかも自分の腕の中だ。少年は眉間に皺を寄せながら、もう一度寝ようとしている。
そこでスッと襖が開いた。


「猫、あなたはそこで何をしているんです?」


不機嫌そうな声をした六道がそこに立っている。


「・・・六道か。」
「・・・もしかして、」
「コイツは僕好みでない。お前の趣味はつくづくわからんな、色魔狐。」
「僕の勝手でしょう?根暗猫。君の可愛い白百合はどうなったんです?」
「・・・黙れ。」


少年は小煩い鹿を思い出して、眉間の皺を二倍にした。

雲雀は二人の言い争いの間、二人を観察していた。よく見れば六道も夷人のような顔をしている。


「何です?雲雀。」


六道が雲雀の視線に気づき、怪訝な顔をして彼を見た。


「別に。」


雲雀は一瞬浮上した気持ちに蓋をした。

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