どこにいけば君に出会えますか
※死ネタ注意





どん、と突然身体に衝撃が走った。その反動で驚いたペガサスに振り落とされ私の身体は重力に逆らえずそのまま、まっ逆さまに落ちていく。その瞬間が何故か非常にゆっくりに感じられて、空の蒼さだけがいやに目についた。



慌てて駆けつけた時にはもう、遅かった。木々が落下した衝撃を吸収してくれたのか、身体は比較的綺麗な方だった。左胸の上に突き刺さったままの弓矢とそこを中心に広がっている赤い血溜まりを除けば、仰向けになって昼寝をしている名前となんら変わるところはなかった。ただ、もう彼女の瞳に光はなかったけれど。

「名前?嘘だよね…?君がこんな簡単に、」

死んでしまうなんて。何だか恐ろしくてその言葉は呑み込んだ。死んでしまった?名前が?こんなにも呆気なく、何の言葉も交わさないままで。

「名前……?」

名前の身体に触れると、まだほんのりと温かい。さっきまでこの身体は動いて空を舞っていたのに。

「ねぇ、起きてよ。名前、」

コバルトブルーの瞳は僕を映して煌めいていて、薄紅色の唇を尖らせて機嫌を悪くさせたりしていたのに。それなのに。

「名前っ…!」





彼女が、名前が最後に伝えたかった想いは何なのだろう。何を、誰を想って死んでいったのだろう。そして彼女はいま、どこにいるのだろう。


君がいつまで経っても答えをくれないから、僕はこうしてまた、空を見上げている。そうして思うんだ。あの日、君が最後に見た空も今と同じように蒼く澄んでいたのかな。もし、同じだったとしたら君はこの空のどこかにいるのかな。ペガサスに乗って空を飛ぶことが大好きだった君は、この空と、この蒼と同化してしまったのかな。


ねぇ、名前。






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僕はまだ、君を探して空を見上げているというのに。




END


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