「秀吉ッ!これは僕らが魅せる、豊臣の宴会芸だ!」
チャチャチャチャ、チャッチャッ、チャッチャータン
タリラリタッタンタン
「寄せて寄せてあげてあげてそ〜れそ〜れそ〜れそ〜れ」
「寄せて寄せてあげてあげてそ〜れそ〜れそ〜れそ〜れ」
「寄せて寄せてあげてあげてそ〜れそ〜れそ〜れそ〜れ」
「………」
「………」
「………」
どうしてこんなことになったんだろう。たぶん、誰もその問いに答えられないだろうけどわたしは突っ込まずにはいられなかった。えぇ本当、どうしてこうなった?
【酒乱の業】
どこからともなく流れてくる軽快な音楽にあわせてキレッキレなダンスを披露しているのは、うん、認めたくはないが我らが豊臣軍のお偉方。
「寄せてあーげてー」
センターは、もちろん半兵衛様。おい、日頃の病弱っぷりはどうした。そんな激しいダンスしてあとで吐血しても知らないからね?
「おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい、でかいーやばい」
向かって左は、以外とノリノリな大谷さん。あの輿であんな軽快な動きができるとは知らなかった。いや、っていうか、よもや大谷さんの口からおっぱい、なんて言葉が出てくることすら…うん、もう諦めよう。
「うーっ!はーっ!」
右を固めるのは当然、三成さんなわけだけど。
「Shit!そこはah〜っ、だろ」
彼の合いの手が気に入らないのか妙なところに突っ込む伊達さん。っていうか突っ込むところそこ?本当にそこでいいわけ?
「おっぱいだけは永遠だか〜ら〜」
それにしても一体いつ、どこで練習したのか。無駄にハモりが綺麗なんだけどこれ絶対一夜漬けのレベルじゃない。
「ははっ、豊臣も平和だねぇ」
「は、はは…」
そうですか?わたしには豊臣の未来は破滅へまっしぐらにしか見えないんですけど、前田さん。
「これは夢だな。小生はいつの間にか寝ちまってたんだ、うん。そうに違いない…」
ブツブツと俯いたまま現実逃避してるのは官兵衛さんだ。いや、まぁ気持ちはよく分かりますよ。これをネタにゆすろうなんて気は微塵も起きないですからわたしも。
「寄せてもあげても揺れねぇってのは、それはそれでいいよな。なっ、名前!」
「どこ見て言ってんですか?そして放っといてください」
いや、別にあなたの乳好みは訊いてません元親さん。
それにしてもなぜこんな曲を選んだのか。こう言ってはなんだが、メンツ的に寄せて上げたら揺れそうなのは他にいる。官兵衛さんとか官兵衛さんとか官兵衛さんとか。まぁもうどうでもいいけど。
「秀吉様…大丈夫かな…」
大量に転がっている空の酒瓶をお供にバナナを無心でかじっている秀吉様も心配だ。というか豊臣の未来が心配だ、いやわりと本気で。
END